【大久保真紀】子ども虐待によって生じる社会的な経費や損失が、2012年度で日本国内では少なくとも年間1兆6千億円にのぼるという試算を、日本子ども家庭総合研究所の研究員がまとめた。子ども虐待の社会的コストは欧米では公表されてきたが、日本では初めて。 試算したのは、和田一郎・主任研究員。社会的コストは、(1)虐待に対応する児童相談所や市町村の費用、保護された子どもが暮らす児童養護施設などの直接費用(2)虐待の影響が長期的にもたらす生産性の低下などの間接費用の二つに分けられ、直接費用は1千億円にとどまった。 間接費用としては、自殺による損失▽精神疾患にかかる医療費▽学力低下による賃金への影響▽生活保護受給費▽反社会的な行為による社会の負担――など様々な項目について、他国の研究事例を参考にしながら推計した結果、社会的損失は計1兆5336億円になった。