ベル・エポックの只中で ギリシャの金融危機が始まった2008年、歴史家フィリップ・ブロムが自著『よろめく大陸(Der taumelunde Kontinent)』の中で、1900年から1914年までのヨーロッパと現代のそれとの類似点を指摘している。タイトルの「よろめく(taumeln)」という言葉は、めまいを起こすという意味もある。なお、「大陸」はもちろんヨーロッパを指す。 ブロムによると、1900年のパリ万博から1914年の第一次世界大戦勃発までの時期、人々の会話や報道の内容を圧倒していたのは、新しいテクノロジー、グローバリズム、テロ、社会構造の変化といったテーマだったという。 工業化が進み、科学や医学が発達した。消費文化が栄え、前衛芸術が花開き、女性が社会に進出し始めた。雑多で、華やかで、ひどく混乱した時代。後世に生きる私たちは、その時代を「ベル・エポック(美しい時代)」と名付けた。