http://d.hatena.ne.jp/noharra/20150321#p1 の続き 「八紘一宇」といった問題を考えるためには、日本書紀の二つの断片が、文字どおり聖典として、近代日本においてことあるごとに顕彰・引用されてきたことを、思い出さなければならない。 1)「天壌無窮の神勅」 葦原の千五百秋(ちいほあき)の瑞穂の國は、是(これ)、吾が子孫(うみのこ)の王(きみ)たるべき地(くに)なり。爾(いまし)皇孫(すめみま)、就(い)でまして治(しら)せ。行矣(さきくませ)。宝祚(あまのひつぎ)の隆(さか)えまさむこと、当(まさ)に天壤(あめつち)と窮まりなけむ。 日本書記第2巻神代下第九段 岩波文庫 日本書紀(一) p132 2)「八紘為宇」 上(かみ)は則ち乾霊(あまつかみ)の国を授けたまいし徳に答え、下(しも)は則ち皇孫(すめみま)の正(ただしきみち)を養うの心を弘(ひろめ)め、然る
自民党の三原じゅん子参院議員は3月16日、参院予算委員会で「ご紹介したいのが、日本が建国以来、大切にしてきた価値観、八紘一宇(はっこういちう)であります」と発言した。 「八紘一宇」という言葉は完全に死語になっていると信じられていた。しかしそうでもなかったようなのだ。路上で雑魚キャラに出会ったと思ったら、その敵が突然ラスボスキャラだったみたな驚きが日本中に広がっている。 「八紘一宇」って何なのか、確認しておかなければならない。以下引用。 『八紘一宇の精神 日本精神の発揚』 「国民精神総動員資料」第四輯(1937年11月発行 ) 「八紘」は「八荒」ともいひ、前者は八方の隅、後者は八方の遠い涯といふ字義であって、共に「世界の涯」とか「天の下」とかいふ意味である。「一宇」は「一家」といふ字義で、全体として統一と秩序とを有する親和的共同体といふ意味である。 従って「八紘一宇」とは、皇化にまつろはぬ一
「日本思想史の成立」について ー「台湾思想史」を考えるに当たって 子安宣邦 1「日本思想史の成立」という問題 私がここで掲げる主題「日本思想史の成立」とは、「日本思想史」という学問的方法的概念の成立をいうのであって、日本思想史の起源的成立を問うことではありません。その意味ではこの主題を「日本思想の成立」と言い換えることもできます。なぜなら「日本思想」という概念が何らかの形で成立してはじめて、その歴史的な展開が「日本思想史」として問われることになるのですから。ですから「日本思想史の成立」の問題とは「日本思想の成立」の問題でもあるのです。 「日本思想史の成立」という主題をこのように考える私の理解の前提には、「日本思想史」という概念も、その対象としての「日本思想」という概念も歴史的な言説上の構成物だという見方があります。その時期をはっきりいえば近代20世紀の日本に成立したものです。それ
★ このサイトを運営するNPO法人WANは、多様なフェミニズム実践とジェンダー研究の情報を発信・集積し、 ジェンダー平等を求める人々に交流の場を提供します。 アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください.本書は、政治思想・フェミニズム理論を研究する、わたし(岡野)と日本を代表するといってよいフランス哲学者の高橋哲哉さんが、約20年ほど前に日本軍「慰安婦」問題を通じて出会い、その後それぞれの社会・政治問題へのコミットメントを通じて、戦後70年を迎える今日、再び憲法問題で出会い直した、その思索の軌跡を論じたものです。 安倍晋三首相が憲法改正手続きを決めた96条から改正しようといい始め(=それは、裏口入学だと憲法研究者から猛反発があり、あっさり撤回)、その後、集団的自衛権の行使を認める閣議決定、武器輸出三原則の撤廃(防衛装備移転三原則へ名前を変えて
名古屋の高島屋11階の三省堂書店で、 岡野八代さんの新刊『憲法のポリティカ』と、 谷口真由美さんの『本国憲法 大阪おばちゃん語訳』を買ってきました。 岐阜の本屋さんで探したのですが見つからなくて、 名古屋に行く機会があったので本屋さんに立ち寄って 検索して探したら、2冊ともありました。 『憲法のポリティカ 哲学者と政治学者の対話』 (高橋哲哉・岡野八代著/白澤社) 『日本国憲法 大阪おばちゃん語訳』(谷口真由美/文芸春秋) ■[新刊のお知らせ] 高橋哲哉・岡野八代『憲法のポリティカ』刊行 2015.3.3 白澤社ブログ このたび高橋哲哉・岡野八代共著『憲法のポリティカ――哲学者と政治学者の対話』を刊行しました。 いつのまにかつくられた改憲への流れ。この流れは日本社会をどこへ運んでいくのでしょうか? 批判的知識人として広く知られている哲学者・高橋哲哉氏と、京都96条の会代表として精力的に活動
没後100年とか○○200年とか、わたしはその類の区切り目の年にあまり興味はない。しかし戦後70年、2015年は今後の日本と歴史認識のありようについて、大変な年になる。問われていることは、安倍首相の唱える「戦後レジームからの脱却」について、たんに「憲法を守れ、平和を守れ」ではなく、いかに理論的な面で攻勢的に反撃するかということである。対決テーマとして3点をあげよう。東京裁判の評価、日本国憲法の評価、日本国民の主権者意識をめぐって、そもそも戦後レジームとは何かを考えたい。 1.民主主義とファシズムの戦いか ファシズム的様相を見せ始めた小泉政権と、かなり明確にファシズムに踏み込もうとしている安倍政権との違いは、極東国際軍事裁判、いわゆる東京裁判の判決を受け入れるかどうかにある。小泉首相はA級戦犯を明確に戦争犯罪人と呼んだ。しかし安倍首相は「勝者による断罪」と述べた。 東京裁判の審理は、アジア太
遺稿「親鸞」から三木清を読む 子安宣邦 1 三木との出会い 私はこの10年来、思想史的関心をもっぱら昭和の戦前から戦中期に向けてきた。そして「靖国と国家神道」、昭和の「アジア観」、「近代の超克」、「和辻倫理学」などの主題を構成しながら私の思想史的作業を進めていった。付け加えていえば,それ以降の思想史的作業の主題となったのは近代日本の「中国論」であり、そして「歎異抄の近代」であった。この思想史的作業の過程で私は三木清に出会うことになった。最初は「近代の超克」論で斜めにかするように出会い、「歎異抄の近代」論でまともに彼に出会うことになった。 昭和10年代、中国における〈事変〉という日本の戦争が拡大し続けていった時期、三木は日本の論壇の寵児であった。彼は近衛首相を支えるブレイン集団「昭和研究会」の有力なメンバーとして、蝋山政道とともに〈事変〉の収拾策としての「東亜新秩
時代の正体<71>「日本のメディアは最悪」−邦人人質事件から/米NY・タイムズ マーティン・ファクラーさん カナロコ by 神奈川新聞 3月3日(火)13時23分配信 過激派組織「イスラム国」による邦人人質事件で2人が殺害されてから1カ月が過ぎた。テロを含めた国際情勢にどう向き合っていくのか−。米有力紙ニューヨーク・タイムズ東京支局長のマーティン・ファクラーさんは、日本が重大な局面を迎えているにもかかわらずさほど論議が交わされていないことが不思議でならない。その背景にメディアが機能していないことを指摘する。 ◇ ジャーナリストの後藤健二さんの殺害映像がインターネットに流れた約1週間後の2月8日、ニューヨーク・タイムズは1枚の風刺画を掲載しました。 タイトルは「Could ISIS Push Japan to Depart From Pacifism?」(「イスラム国」は平和主義から日
普通の日本人は男は男言葉、女は女言葉を使うものだと思っています。 典型的なところでは語尾の「~ぜ、~ぞ」「~わ、~よ」などのことですが 実際の文章や発話を調べてみるとほとんど使われていないことがわかり ます。それなのに男言葉・女言葉というイメージがあるのはなぜでしょう。 この本では、過去に使われた男言葉・女言葉のイメージが「翻訳」という 作業で再生産され続けた結果、逆に現在の日本語のイメージに影響を 与えているのではないか、という分析を行なっています。 著者の分析によると、特に洋画の字幕ではなるべく文字数を減らすため 言葉づかいでアイデンティティの表現が行なわれてきたようです。 そのためステレオタイプとして ・西洋のヒロインは「女ことば」(~わ、~かしら) ・西洋の若者は「気さくな男ことば」(やあ、~さ) ・黒人は「東北弁風の方言」(おら、~するだ) を話すものだというイメージが作られてき
トップ > 東京堂書店 最新情報 > イベント情報 > 『憲法のポリティカ──哲学者と政治学者の対話』刊行記念 高橋哲哉さん×岡野八代さんトークイベント「憲法の何が問題なのか」 3月11日(水)19時~ 投稿ナビゲーション ← 前へ 『憲法のポリティカ──哲学者と政治学者の対話』刊行記念 高橋哲哉さん×岡野八代さんトークイベント「憲法の何が問題なのか」 3月11日(水)19時~ 『憲法のポリティカ──哲学者と政治学者の対話』(白澤社)の刊行を記念し、著者のお二人にトークをして頂きます。ふるってご参加下さい! 【概要】 選挙の争点ではなかったはずなのに、いつのまにか改憲の流れが進んできています。この流れの何が問題で、これからどこへ進んでいくのでしょうか? 哲学者と政治学者が法律論とは違う角度から、憲法の何が問題なのかを縦横に語りあいます。 高橋哲哉(たかはし てつや) 東京大学大学院総合
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く