宇宙船「神舟」 日本にも確かな戦略が要る(9月29日付・読売社説) 宇宙開発・利用を巡る世界の勢力図が変わりつつある。そう実感させられる出来事だ。 中国の有人宇宙船「神舟7号」が3日間の飛行を終え、帰還した。搭乗した飛行士3人のうち1人が、同国初の宇宙遊泳に成功した。 有人飛行から宇宙遊泳まで1国で実現できる国は、これまでロシアと米国だけだった。その「宇宙大国」に中国が加わった。 中国は、独自の宇宙ステーション建設を計画している。月の有人探査も目標に掲げている。その実現に、大きく一歩近づいた。 建国記念日に当たる10月1日の国慶節は目前だ。経済格差の拡大や、役人の汚職などで国民の不満は募っている。神舟7号の飛行には、北京五輪に続き、共産党政権への求心力強化と、国威発揚への期待もあったはずだ。 だが、単なる政治ショーと言えるだろうか。1992年から有人宇宙開発に乗り出し、15年余でここまで来