採用を多様化しないとソフトウェア産業に未来はない しかし、このような雇用慣行を続けた結果、日本のソフトウェア産業では親会社は仕様の決定と工程管理を行なうだけで、コーディングなどの専門的な仕事は下請けに出されるITゼネコン構造が生まれた。こうした構造は、高度成長期の製造業のように単純な技術で安くつくるブルーカラーが競争力の源泉だったときには、一定の合理性があった。 市場が変化して部門を廃止するとき、労働者を解雇すると労使紛争が起こる。欧米のような産業別労働組合ではストライキなどで徹底的に抵抗するので業種転換が進まないが、日本では解雇しないで配置転換するので労使紛争が少なく、企業グループが全体として拡大しているときは系列の中で労働者を再配置して生産性を維持できた。 しかし90年代以降、新興国との競争で企業の最適規模が縮小し、賃金の引き下げ圧力が強まると、成長を前提にした長期的関係は維持できなく
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