主人公たち以外、全員怪人 今週土曜日、ドラマ『M 愛すべき人がいて』(テレビ朝日・ABEMA)が、最終回を迎える。浜崎あゆみの自伝をもとにしたこの作品は、昭和の大映ドラマを彷彿とさせる奇っ怪な内容によって視聴率以上に注目され続けている。 主人公たち以外、全員怪人──この制作意図が貫徹され、視聴者に十分受け取られている点において、作品としての完成度はとても高い。しかし、その一方で最盛期だった90年代後半の音楽業界を奇っ怪に描いてしまうことへの不可解さもぬぐえない。 面白さと違和感が常に同居するこのドラマは、いったいなにを意味しているのか。 まるでのモンスターの礼香 『M』の舞台は90年代後半。歌手を夢見る少女・アユ(安斉かれん)と、彼女をプロデュースするレコード会社の専務・マサ(三浦翔平)を中心とする物語だ。無論のことそれは浜崎あゆみのプロフィールと重なり、作中で使用されるのも実際の楽曲だ。