数年前。 知人が以前勤めていた会社の話。 社長室で経営者がひとり 「一体何が起こってるんだ…」 と頭を抱えていた。 頭痛の種は相次ぐ社員の退職。 1年間で7人。 社員規模が数十名の中小企業としては相当な痛手だ。 その中には仕事ぶりに脂の乗ってきた中堅社員や長年勤めてきたベテラン社員も含まれていた。 発端はさかのぼること2年前。 「無駄を削減する」 との名目で経営者から残業代カットが発表された。 勿論、直接的に 「残業代カット」 と言ったわけではない。 「仕事が出来て定時で退社するやつより、仕事が出来なくて残業してるやつのほうが給料多いのはフェアじゃないよな?」 と、経営者。 単純に残業代をカットすると法律的にも問題になるだろうから、残業をしてもしなくても最初から一定額の残業手当がつく制度を採用した。 法には触れないように注意して導入したらしい。 実際はそんなところに注意している場合ではなか