ニューヨーク公共図書館(NYPL)といえば、世界でも最も著名な図書館の一つ。正面にライオンの彫像を抱えた、重厚なボザール様式の建築で知られる本館を含め、92館の図書館から構成される知の殿堂だ。年間の予算は約414億円(3億7000万ドル)。日本の国立国会図書館の予算186億円(平成31年度当初予算)と比べても、2倍以上の規模を誇る。 その巨大図書館の舞台裏をつぶさにとらえたドキュメンタリー映画「ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス」が5月18日から、東京都千代田区の岩波ホールで公開される(全国順次)。監督はドキュメンタリーの巨匠、フレデリック・ワイズマン。約3時間半にも及ぶ映画では、地域の小さな図書館の日常から、利用者が入り込めないような役員会議の意思決定の場まで、カメラは容赦なく映し出している。 この映画を見れば、NYPLがただの書庫ではなく、市民社会に欠かせない情報拠点であり、市民