トマトである。 ✳︎✳︎ ひさびさに古くからの友人と飲みに行った。彼女とは今でもちょくちょく会う間柄であるが、かつて「会う」といえばそれはイコール「酒を飲む」ということであったわたしたちも、わたしの出産を機に様子が変わってしまった。わたしたちが会う舞台は「夜の居酒屋」から「昼間の公園」に変わり、彼女はとても積極的に娘の遊び相手になってくれ、娘も彼女のことが大好きなのである。 そんな彼女とひさびさに酒を飲んだ。地元で人気の焼鳥屋に足を運び、名物のつくねを頬張りながら、話に花を咲かせた。レモンサワーを一杯、二杯と飲み進めていくうちに、周りの客たちの話し声は全く気にならなくなり、わたしたちはただひたすらとりとめもない話をした。又吉の火花はもう読んだかだとか、最近ついつい食べ過ぎてしまうのは秋が来たせいなのかとか。 互いの家族の話もした。なぜわたしたちは血のつながりや婚姻関係にある近しい人間に対し