家族が織りなす様々なエピソードを描く漫画家で、立命館大教授の団士郎さん(70)の作品展が12日まで、大阪府茨木市で開かれている。東日本大震災の後、宮城や福島など被災県で毎年披露され、「ささやかな物語に癒やされた」と好評を得ている作品だ。 悩み相談、題材に 心理学が専門の団さんは京都府の児童相談所に25年間勤め、2001年から大学の教壇に立つ。また、家族関係を手がかりに、不登校やうつなどの悩みの解決法を探るカウンセリングを行っている。 一方で得意の漫画を描き続けてきた。00年には家族を題材に短編の創作を始め、月1回、教育雑誌に連載してきた。面談で出会った家族の話を下敷きにすることもある。「ひとつめ」と題した一編は、非行が収まらない少年と家族を描いた作品だ。 母親は家を出て、父親が少年とその姉、妹の夕飯を作り、家事をしていた。地味でまじめな父を子どもたちは疎んでいた。団さんは面談の際、問題行動