「スタンフォード監獄実験」は、現代心理学における最も有名な実験のひとつと言っていいだろう。この実験は、特殊な状況下に置かれた人は急速に、求められている役割に合わせた行動をとるようになり、普通の環境なら「邪悪」と呼ばれるような振る舞いをすることを示す例として用いられてきた。 この実験は、現代心理学を構成する骨組みの一部となり、社会心理学の教科書の大半で取り上げられ、心理学を初めて学ぶ世界中の学生たちに当たり前のように教えられてきた。 しかしいま、世界の心理学専門家たちで構成された委員会によって、その正当性が公然と議論されている。そのなかには、スタンフォード大学の研究者で、この実験を考案・実施したフィリップ・ジンバルドー教授も入っている。 スタンフォード監獄実験とは一体何だったのか?第二次世界大戦やホロコーストをきっかけに、現代心理学では、日常とは異なる状況下で、暴力的で不道徳な人間の行為が生
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