ル・カレ作品のブームが続いている。新作が各紙誌の書評欄をにぎわすのはもちろん、映画も2011年から『裏切りのサーカス』(原作は『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』)、『誰よりも狙われた男』、『われらが背きし者』と立てつづけに公開され、昨年放送されたドラマ(日本ではアマゾンが配信)『ナイト・マネジャー』も、エミー賞とゴールデングローブ賞ドラマ部門で合計5つの賞を獲得した。『ナイト・マネジャー』の成功を受けて、今度は同じBBCの制作で『寒い国から帰ってきたスパイ』のドラマ化が決定し、『裏切りのサーカス』でジョージ・スマイリーを演じ たゲイリー・オールドマンが、新作ドラマでもスマイリー役になると報じられている。 この作家は半世紀前のデビュー当時から一貫して、組織や制度と個人との対立を背景にした人間ドラマを描いてきた。その揺るぎない姿勢と業績が、激動のいまの時代に、人々の関心を集めているの