東日本を直撃した台風19号は、少なくとも東京、千葉、静岡など十三都県の八十六公立図書館と十四大学図書館に甚大な被害をもたらしたことが、文部科学省などへの取材で分かった。同省にまだ報告がない長野県内でも複数の館が被害に。十二日の上陸以降、書庫が水没したり、雨漏りで本がぬれたりした現場で、職員らによる不休の復旧作業が続く。 「一週間も水に漬かってしまった。本を助けたいけど…」。泥と消毒液の臭いが立ち込める東京都市大(世田谷区)の図書館で、スタッフらがかびた本の整理や清掃をする。蔵書二十九万冊のうち九万冊を置く書庫を含めた地下が水没し、一階も足首まで水に漬かった。 千曲川の堤防決壊で大きな被害が出た長野市では、図書館分室のうち二カ所が浸水した。豊野公民館では一階が五十~六十センチ浸水。ロビーに並べていた書籍の四分の一にあたる千冊が水をかぶった。堤防決壊現場となった穂保(ほやす)地区の長沼交流セン