長崎の原爆によって壊滅した長崎市浦上地区にまつわる人々を取り上げた『生き抜け、その日のために―長崎の被差別部落とキリシタン』(解放出版社)を2年前に出版した作家の高山文彦さんが26日、東京・練馬区役所で講演した。190人の市民が、50分間の講演に耳を傾けた。 講演で高山さんは、浦上で被差別部落が生まれた歴史的経緯に触れつつ、浦上地区の被差別的な風土が長い年月をかけて醸成されていった背景を説明した。 浦上地区には、古くから弾圧を受けてきたカトリック信者と、被差別部落の人々が暮らしていた。両者は江戸時代から隣り合う土地に住み、時の権力者によって、監視する側とされる側という対立状態に長く置かれていた。 被差別部落の祖先も、江戸時代の初めまではキリシタンだった。しかし、キリシタンが弾圧される時代になると、被差別部落の人々は仏教に改宗した。やがて、一部の人々は長崎奉行所のキリシタン取り締まりにも関わ