ブックマーク / yoshitakaoka.hatenablog.com (30)

  • 反省文 - 想像は終わらない

    両耳にかかる水圧。目を閉じてるから光はなくて、とにかく重くて息苦しい。 光を掴んだ気がした。 こじ開けた穴に腕をねじ込み、チャンスの尻尾を掴んだ気がした。 先が見えた。そう実感したから眠くならなかった。ずっと頭が興奮して、睡眠なんて必要なかった。 景色を変えるんだって意気込み、期待を寄せて広げた手のひら。 そこには何にも残ってなかった。 2020年4月2日 状況は何も変わっていない。 何の進展もみえないまま、グルグルその場を回っているうちに世界は変わり、後戻り出来ない事態になった。 オフィスと机が与えられた代償は誰もいない街に向かう行為で、慣れない仕事を頭に詰め込み、消毒液に囲まれて毎日が過ぎていった。 この選択が逃げだったのだと気付いたのは、ついこのあいだの真夜中で、情けなさが湧き上がって自分が心底嫌いになった。 昇進は、かぜ薬だ。 即効性があり熱を下げるが、その根をなおしてはくれない

    反省文 - 想像は終わらない
  • シラフで他人を虐める奴より、キマって揺れてる奴がいい - 想像は終わらない

    透明な枠でもがいてる 自由だ自立だって叫んでも 何かに怯えて後ろを見るんだ 一日の終わりに目を瞑る 十字も切らないし手も合わさない ただ黙って祈りを捧げる 当たり前である事に涙を流し 当たり前である事に苦しさを覚える いつも何かを追ってんだ 降りてきたイメージとか 残って消えない場面とか 麻痺しない感覚が付きまとう 気にならないって強がっても 眠れぬ夜が増えるだけだ 吐き捨てられた声が居座り 思考と行動の邪魔をするから 音楽でそいつを溶かすんだ 何が心を突くんだろう 何が気持ちを急かすのか ルールばかりが街に溢れ 普通の群れが道を塞ぐ 道を外れた感情よりも 同調の方がよっぽど怖い 何だって良いと思ってる 飲もうが 吸おうが 打とうが それこそ何だって良い それらの全てをやらないが やってる人に文句はない こっちにとって重要なのは 表に出てくる言動だ シラフで他人を虐める奴より キマって揺れ

    シラフで他人を虐める奴より、キマって揺れてる奴がいい - 想像は終わらない
  • 「放課後のジェットリー」は眠らない - 想像は終わらない

    「何でその名前なんだよ?」 「何が?」 「ラジオネーム。変だろ、それ」 「変じゃねーよ。ちゃんと計算して付けた名前だぞ」 「『放課後のジェットリー』が?」 「いいか、ラジオネームってのはインパクトが命だ。名前八割、内容二割って言うだろ。そんだけネームは重要なんだよ」 「そんな比率、聞いたことねぇよ」 「考えてみろ。何百枚の応募から選ぶんだ。ジャブを何発撃ってもしょうがねーだろ。はなからストレートだよ」 「そういうもんなのか」 「あぁ、そういうもんだ」 「じゃあ、インパクトはいいとして、何でその名前なんだよ? お前、ジェットリー好きだったっけ?」 「いや、別に」 「だったら何で?」 「好きとか嫌いとかじゃねーんだって。ちゃんと法則で付けてんだから。いいか、『放課後のジェットリー』って聞いて、何を思い浮かべる?」 「何って、ふざけた名前だなぁって」 「違うんだよ。そうじゃなくてさー。オッケー、

    「放課後のジェットリー」は眠らない - 想像は終わらない
  • Aの中で、Bを見る - 想像は終わらない

    制限があっても、与えられた中で花を見つける。 まだ大洋ホエールズが生きていた頃、私はコントローラーが絶対に回ってこない「ファミコン応援係」という役を与えられていた。 仲間に入れてもらえるアイテム、ファンタオレンジを献上して、所定の位置に座る毎日。 表向きはプレイヤーに声援を送っていたが、頭の中ではブラウン管から流れるゲーム音楽を使って遊んでいた。 当時のお気に入りは、ネズミ警官がトランポリンを使ってはしゃぐ「マッピー」。 AメロとBメロの頭に「ミスするなら 金返せよ」と、夢のない歌詞をつけ、それをループさせて声を出さずに歌った。 曲が転調してから「トゥントゥントゥン」と続くメロディラインが気持ちよかった。 そんな脳内歌謡ショーは、曲のテンポがあがると一旦終わり、ツインビーへと移行するのが常であった。 その行為が、あの時、私が見つけた花。 薄暗い中で咲く、一輪の赤い花だった。 *** 喜怒哀

    Aの中で、Bを見る - 想像は終わらない
  • 出し続ければ開くって、本気でそう信じてるよ - 想像は終わらない

    仕事着を通して見渡す街に 暮れも明けも存在しない 夜になったら ただ忙しく 朝になれば ただ煙たい 鏡を見つめて息を吐く 固まった頬を揉みほぐす ウィードが溢れる帰り道 赤い目玉が笑っている こちらを睨んで吠える狼 立てた中指をしまってくれ 憂いを晴らすクリアホワイト 何粒飲めば楽になる? 違う それじゃない 欲しい景色はそこにない メシアもいない 糸も垂れない だから私は書いていく どうやったって消えない思いを 言葉に変えて書いていく *** 皆様、こんにちは。 こちらメープル荘は、二時間前に年が明けました。 2018年は私の書いた文章を読んでくださり、当にありがとうございました。 深く感謝いたします。 今年も、どうぞよろしくお願いします。 21世紀型 交換ノートをやっています。 よろしければ、是非。

    出し続ければ開くって、本気でそう信じてるよ - 想像は終わらない
    hanpeita1973
    hanpeita1973 2019/01/05
    あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
  • こんにちは - 想像は終わらない

    So this is Xmas And what have you done 何をしたのかと問われれば、「生きてきた」と答えよう。 五匹のがヒーターの通気孔を塞いでいる午前三時半。 丑三つ時の四角い部屋には、離婚記念で空を飛んできた義理の母が寝息を立てている。 約一ヶ月の滞在。 長い長い拘束生活から解放されたのだ、是非ともピザやポテト、ハンバーガーなどを頬張ってゆっくりしていって欲しいと思う。 ドアが開き、内へ潜って区切りをつけて、しばらくその場を回った後に、障子を破って部屋を出る。 今年は、そんな一年だった。 新宿から乗って、物思いにふけていたら、もう相模大野。 今年は、そんな速さで過ぎていった。 例年通り、二、三ヶ月ちょろまかされている感覚だ。 歳を重ねて、「変化」という言葉が好きになった。 変わることは失うことではない、今は無理せずにそう思える。 ここ最近、私はたくさんの「こんにち

    こんにちは - 想像は終わらない
  • 残った欠片との別れ  - 想像は終わらない

    雪が降った木曜の朝8時、ブラックももひきをはいた私は、リクライニングチェアーに腰掛けて、口を大きく開いていた。 目の前にはマスクをしたインド系歯科医。 彼のタレ目に見守られ、これでもかとリピートされるクリスマスソングに包まれながら、残り1になっていた私の前歯は勢いよく引き抜かれた。 たくさん打たれた麻酔のせいで痛みはなかったが、歯がなくなった後、何とも言い表せない寂しさを感じた。 診察が終わってトイレに寄った私は、口をニカッとあけて鏡を見た。 何だかなぁ、という気持ちが心を覆う。 こんな羽目になった原因は分かっている。しかし、その時の私は、30代で全ての前歯とさよならすることになるとは思ってもいなかった。 私の前歯は、入れ歯だ。 抜き差しするタイプや、両脇の歯で支えるブリッジタイプではなく(支える歯が欠けているため、不可能)、口内の形状に合わせて、上の歯茎にカパッとはめる形をとっている。

    残った欠片との別れ  - 想像は終わらない
    hanpeita1973
    hanpeita1973 2018/12/11
    ほんとクソッタレなことばかりよ。
  • エピソード・ゼロ - 想像は終わらない

    「こんなとこで、ちゃんと見えんのかよ」 「見えるよ」 「もうちょっと近づけばいいじゃん」 「見えるからいいって」 「それにしても、お前が熟女好きとは知らなかったよ。キッちゃんちで見てるエロ、全部ミニスカもんじゃなかったっけ?」 「ちょっと、動くなよ。ちゃんと横向いてて」 「騒がなくても大丈夫だって。あっちからは見えねーよ」 「いいから、姿勢戻して」 「分かったよ。お! サヤマ、あのおばさん、一瞬こっち見たぞ。あれだな、正面から見ると案外若く見えんな」 「うるさいよ」 「あの赤い頭巾みてーの被ってなきゃ、もっと若く見えるかもな。しかし、なんでレジ打ちに頭巾を被せるかね? 頭巾被っていいのは、コージーコーナーまでだろ」 「ねぇ、頭巾、頭巾うるさい。ちょっと黙ってくれないかな」 「だって必要ねーだろ? じゃあ、何だ、お前は頭巾派か? サラッサラの髪の毛より、頭巾の肩を持つのか?」 「ユキム、返

    エピソード・ゼロ - 想像は終わらない
  • ユワシャ - 想像は終わらない

    ハロウィンに特別な思い入れはない。 出勤と同時に化けの皮を被っているのであえて仮装する必要はなく、トリックを披露する場も、トリートを配る機会もないので、職場のバスケットに詰め込まれていた甘いチョコ菓子をかじる以外は、いたって普通の水曜日だった。 カナダで口にするチョコ菓子は甘い。 とにかく甘い。 甘すぎるチョコ菓子は、もはやチョコ菓子ではなく、黒くて茶色い砂糖だ。 ちなみにドーナツも甘い。 正確に言うと、甘ったるい。 こんなにも糖分が高いものをべていたら明らかに体に毒だと思うのだが、こちらの人はピンピンしている。 目を疑うほどに、ピンピン。 じーさんもばーさんも杖やウォーカー、もしくは自動歩行器にまたがってカフェへ繰り出し、ダブルダブルのヒーコちゃん(砂糖×2、クリーム×2)を飲みながら甘パンを頬張っている。 その光景は、まるで34丁目の奇跡。 彼らの顔は、一様に幸せそうだ。 そんな場面

    ユワシャ - 想像は終わらない
    hanpeita1973
    hanpeita1973 2018/11/03
    同感。
  • 13インチの鎮魂歌 - 想像は終わらない

    腕を押さえてめくるスウェット 横に走った赤い線 ミミズみたいな赤い線 外に出せずに向けた刃 二個目の蛍光灯が点滅する 為すすべがなくて無言で笑う 楽しくもないのに手を叩く 「縦に引いたらマルバツができる」 勝っても負ける真っ赤なゲーム 角はいつだって埋まったまんま やり切れないって泣くのなら タトゥーを入れて隠そうか 六階で見つけた黒い影 先月より二階も上がってる 足元に溜まったキャスターの吸い殻 今日はここで何分待った? 「遅いよ」って咳き込んで座る 死なない嘘なら大歓迎だ 赤い線を舞うハミングバード 知らないんなら教えてあげる それは癒しを与える幸せのシンボル 錠剤なんか運ばない 肩に激しく爪を立てる めり込む感覚で安心するなら 気を使わずにご自由に こっちのことなら大丈夫 絆創膏は箱であるから この前の人から連絡はあった? 四六時中いじっているけど その電話 一昨日から電源が切れてる

    13インチの鎮魂歌 - 想像は終わらない
    hanpeita1973
    hanpeita1973 2018/10/19
    お久しぶりです。おかえりなさい。
  • ご報告 - 想像は終わらない

    自身の作品である「歩けばいい」が Amazon × よしもとクリエイティブ・エージェンシーが主催する「原作開発プロジェクト」において優秀賞を受賞しました。 ドアが開き、橋がかかった事がとても嬉しいです。 作品を読んでくださった方々、選んでくださった方々、サポートしてくださった方々、そして表紙を描いてくださったミチコオノ氏、その全ての人たちに感謝します。 当に、ありがとうございました。 受賞の報告を受けた日、結果をまだ知らない自分は仕事帰りに嫁と合流し、テイクアウト専門のチャイニーズレストランへと向かっていました。 その日、普段よりも多くの料理を注文をした理由は、夕時に残念会をするためでした。 Amazonから結果報告がくるのならばこの日だろう、と自分の中で勝手に決めていた日が報告を受けた前日だったので、受賞の可能性はなくなったのだろうと悟り、大好きな海老ビーフンをべて気持ちをさっぱり

    ご報告 - 想像は終わらない
    hanpeita1973
    hanpeita1973 2018/04/25
    すげえ!
  • 午前二時の哀歌 - 想像は終わらない

    チョークの粉を体に浴びて 黒板の枠を飛び越える 素足で履いたエアジョーダン 真っ白なままで高く跳ぶ 黒目の奥が当の正体 教室のライトじゃ照らせない 椅子を蹴られてうずくまり 赤子の目線で床を這う 服に残るバニラ 頭上で割れる卵 シャツを脱いで素肌を晒し その日の匂いを削ぎ落とす 大丈夫? まだ笑ってる? 大丈夫 笑ってる ケラケラ ケラケラ 涙を流し ケラケラ ケラケラ 手を叩く 真っ赤な染みに手を振って 踏まれた影を振り払う 窓から抜け出す午前二時 消えた覚悟の背中を探す 我は石になる 我は花になる 揺れる灯りに望みを託し 両手を合わせて目を瞑る 何十回目のさようなら 震えた息が宙を舞う 黒と白 白と黒 何匹目かのが横切り 月が沈んで日が昇る 大丈夫? まだ笑えてる? 大丈夫 笑えてる ケラケラ ケラケラ 涙を流し ケラケラ ケラケラ 手を叩く

    午前二時の哀歌 - 想像は終わらない
  • この土地は誰のもの? - 想像は終わらない

    メインストリートのコーヒーショップ 右肩に彫られたハイダのイーグル 握手をした友人はもういない 「弓を引く者」 彼はその名を捨てたと言った トライブを抜けた者 居場所を探す者 私も流れてここに来た 「よそ者」レッテルの永住者 私はあなたの敵ではない 「仕事を奪い取る移民者」 私はあなたの敵ではない 立てた中指をしまって欲しい 私はあなたの敵ではないんだ ここで産声をあげてはいないが この国に手を添えている ナショナリズムに愛国心 大きな声は人を惑わす 異なる色を叩かなくとも 生まれ育った国を愛せる 「ここは俺たちの土地だ!」 つまらぬ悪意を埋め込まれた日 コーヒーショップのドアを開けた 壁際の丸テーブル 右肩で羽ばたく赤い大鷲 イーグルの目に引き寄せられ 席を立ち声をかけた そこに座っていたのは ずっと前から知っている匂い 背の低い草と土の香り 鼻に残るがウィードではない 頭に広がる湿った

    この土地は誰のもの? - 想像は終わらない
    hanpeita1973
    hanpeita1973 2018/03/24
    哲学。
  • その先で会おう - 想像は終わらない

    キャンバスで吠えるオオカミ 睨む両目に用はない 道を塞ぐ霧と影 先へ行くんだ どいてくれ 取るに足らないジャパニーズ いや違う そんな立派なものじゃない 生まれた場所で生きられなかった 誇る過去など持っていない 袖を引く手を振り払う 幻覚の中じゃ踊らない 目を開けるよ 我を忘れても救われない 目を開けるよ 逃げ続けても限界がある 前を見ても走れなかった 祈るだけじゃダメだった 震えた手では時間がかかる 人一倍時間がかかる それでもいい それでもいいんだ 街よ どうかゆっくり休んでくれ 私はその間に進む 人よ どうか目いっぱい遊んでくれ 私はその間に進む 空気や時間が変わっても 歩いていれば先で繋がる 例え姿が見えなくても あなたがいれば怖くはない 一緒に歩くと決めたんだ その方がきっと楽しいから きちんとケジメをつけるために 捨てた感情を拾ってくるよ 荷物が増えて重いけど 全部まとめて連れ

    その先で会おう - 想像は終わらない
  • 今が永遠に続きはしない - 想像は終わらない

    三月になりました。 相変わらず時間は駆け足です。 何というか、誰かに五時間ほどちょろまかされている錯覚に陥ります。 最近、子供の頃よく耳にしていたオノデン(秋葉原にある電気屋さん)のCMソングが頭の中で流れます。 宇宙的な歌詞で電気の世界を紹介している、あれです。 オノデンボーヤが未来と遊んでいる、あれです。 何かきっかけがあったわけではないのに、この曲が脳内でヘビーローテーションされている理由が分かりません。 こういった時の脳のメカニズムが知りたいです。 話は変わりますが、自分がここを離れている間、以前書いた詩を かこ (id:kozikokozirou)さんが漫画にして下さいました。 yoshitakaoka.hatenablog.com kozikokozirou.hatenablog.com とてもありがたく、当に嬉しかったです。 真っ暗の中にいる時、自分は何も見えませんでした。

    今が永遠に続きはしない - 想像は終わらない
    hanpeita1973
    hanpeita1973 2018/03/07
    ほんと毎日忙しくてちょっと待ってくれないかと言いたくまります。
  • 整いました - 想像は終わらない

    皆様、お久しぶりです。 2018年 2月22日 出版登録の手続きが済み、約3ヶ月遅れの新年がやってきました。 ちなみに昨夜見た初夢は、明け方の浅瀬で餌を仕分けするというものでした。 目覚めて頭に浮かんだ言葉は、明けましてトゥナイト。 就寝前にキレキレな動きで踊る田原氏の映像を見た事が原因と思われます。 執筆中、マックの充電コードをニャンズに噛みちぎられるというドッキリハプニングが起き(今回で計3回目)、お財布が号泣しましたが、とにかく整いました。 (過去2回の敗戦から立ち直り、もう負けはしまいと心に決めて作成したお手製コードカバー、通称ツチノコ1号。せめてトロピカルな気分で作業をしたいと思い、蛍光緑のダクトテープを用意するも、南国気分とは程遠い、昭和の扇風機と同系色のツチノコが誕生することに) (結果を言うと、詰めが甘かった。しっかりと着せたはずの蛍光グリーンが、7部丈サイズに捲れ上がり

    整いました - 想像は終わらない
    hanpeita1973
    hanpeita1973 2018/02/27
    おかえりやんさい。
  • 自分のケツは、自分で拭きます 〈高岡ヨシ + 大関いずみ〉 - 想像は終わらない

    「おーい、君ぃー! 聞こえるかー? そんなとこで、何してるんだー?」 「あっ! お勤めごくろうさまです! あのー! わざわざ来てもらって悪いんですが、間に合ってまーす!」 「いやー、えっ? 間に合ってるって、何だろうなー? とにかくさー、そこ危ないから降りてきなよー!」 「何だかすみませーん! でも、降りる気はないんで、お帰り下さーい!」 「いや、帰らないよー! ねぇ、君ぃー! そこで何をしてるのー?」 「自分のケツを拭こうとしてるんでーす!」 「うん、そうだねー! いや、そうじゃなくて、何でそんなトコにいるのかなー? どうしてそこに便器があるのかなー?」 「あのー! それ説明すると長くなるんで、勘弁してください! とにかく、今、僕は忙しいんでーす! 放っといてくれませんかー!」 「んー、放っとけないよー! あのー、君ぃー! もしねー、お尻を拭きたいんだったら、降りてきた方がいいよー! そ

    自分のケツは、自分で拭きます 〈高岡ヨシ + 大関いずみ〉 - 想像は終わらない
  • 心の歌 - 想像は終わらない

    目隠しされても笑って歩く 俺の視界を奪っても 質だけは奪えない 触れられない いや 触れさせない いくらでも笑え いくらでも指をさせ 頭の数だけ増やしても お前の戯言は響かない 上だろうが下だろうが構わない 俺はとにかく進んでいく 昼が嫌なら夜を待て 光が嫌なら目を瞑れ 同じ場所を目指さなくていい 道から無理に外れなくてもいい どうしようもない環境の中で 不良にも犯罪者にもならずに生きてきた 「普通」に馴染めない毎日を どうにかこうにか乗り越えてきた こんなもんじゃない 俺が辿り着きたい場所は 今の景色で終わりじゃない あんただってそうだろ? 思い描いている舞台は まだまだこんなもんじゃないだろ? 誰かと誰かの悪意を並べて 群れて固まるのが望みじゃないだろ? もっと奥へいこう 同調が届かないずっと底まで イメージを超えて潜っていこう 生まれてきた訳を知りたい 煩悩に苛まれる理由を見つけた

    心の歌 - 想像は終わらない
    hanpeita1973
    hanpeita1973 2017/09/02
    いい。
  • アーティフィシャル・フラワーズ 《後編》 - 想像は終わらない

    「だからよ、何でセリフを言うときに眉毛が上がるんだよ。それじゃあ演技が嘘くさくなっちまうじゃねぇか」 口に含んだ煙を上へ吐き出したチャーさんは、タバコの先をワタル君へと向けた。 「え? 上げてないですって! チャーさんの見間違えですよ。ていうか、細かすぎますよ。例え眉毛が上がっていても、誰も気にしませんて」 「バカやろう、お前は何にも分かってねぇな。話すたびに眉毛が上がる奴がいたら、どう考えたって怪しいだろ。俺が刑事だったら一発でお縄もんだぞ」 「花屋に刑事はいませんから。それに僕が演じるのは客であって、容疑者ではないです。ちょっとチャーさん、いったん僕の眉毛から離れませんか。話が全然先に進まないじゃないですか」 ワタル君は大きなあくびをひとつして、近くのベンチに座り込んだ。 誰もいない夜の公園。 園内の時計の針は、日付を跨ぐ準備をしている。 10時前にはセッちゃんの店を出たので、もうかれ

    アーティフィシャル・フラワーズ 《後編》 - 想像は終わらない
    hanpeita1973
    hanpeita1973 2017/08/21
    今日も素敵な写真ですね。
  • アーティフィシャル・フラワーズ 《前編》 - 想像は終わらない

    8時は越えたか? いや、まだ壁に光があるから、7時半過ぎか? だとしたら、2時半前に寝たとして、約5時間。 枕の横で背中を見せている電話をひっくり返し、手探りでホームボタンを押す。 ( 7:04) 7時4分。 勘弁してほしい。 最後の1杯。 あの冷や酒が余計だった。 (もったいねーから、終わらしちまいな) チャーさんが締めに勧める酒は、毎回無駄に後を引く。 自分の適量は分かってるのに、貧乏根性を出すから眠りが浅くなるんだ。 全くもって、自業自得。 せっかくの休みなのに、こんなに早く起きてどうする。 9時にセットしている目覚ましで起きたかった。5時間未満の睡眠では体に響く。 どういうメカニズムかは分からないが、35を超えた去年から、2度寝が出来ない体質になってしまった。 目を閉じ続けていれば、もう一度……とは考えない。 無駄な抵抗はしない。 起きる。 潔く、起きる。 コーヒーを飲むなら、ハム

    アーティフィシャル・フラワーズ 《前編》 - 想像は終わらない