■ プロ入りまで、スポットライトと無縁 ひとつの失敗が、キャリアの分岐点になることがある。ミスを反省して糧にできる人がいれば、腐って転落の一途をたどる者もいるだろう。失敗とは、人間の器をテストされているような局面だと思う。 【詳細画像または表】 右肩関節腱板損傷から7月中旬に復帰した浅尾拓也(中日)は、数々の失敗を乗り越えることで無名投手から日本屈指の“守護神”と評されるまでになった。 「失敗を乗り越える」という表現は「不撓不屈」や「前向きな取り組み」などポジティブなイメージを想起させられるが、浅尾のメンタルはむしろ逆だ。そこにこそ、球界トップに登り詰めることができた理由が潜んでいる。 2010年に歴代最多の47ホールドを記録して最優秀中継ぎ投手に輝き、翌年は同賞とシーズンMVPを獲得した浅尾だが、プロ入りまではスポットライトと無縁の日々を送った。小学生の頃はプロ野球選手を夢見てい