立教大学の専任教員をしながら精神科医として臨床を続け、評論家、エッセイストとしての著書も多数。そんな香山リカさんが大学を辞め、北海道南部にある“恐竜の町”むかわ町の小さな診療所で働き始めて2年がたつ。大学の定年を迎えたわけではなく、東京に居られなくなったわけでもなく、還暦を越えて縁もゆかりもない地へ―。人生を大転換させたきっかけや現在の心境を伺った。 【写真】さすが恐竜の町! 町内に展示されているカムイサウルスの化石 二拠点生活を始めたきっかけは「ふたつの死」 香山さんの勤務先の正式名称は『むかわ町国民健康保険穂別診療所』だが、住民も職員も合併前の町の名から「穂別診療所」と呼ぶ。宿舎から診療所まで車で3分。宿舎の前には原野が広がり、四季折々の花が咲く。冬は白銀の世界が広がり、近くの川でダイヤモンドダストがきらめくこともある。 「地元の人には当たり前の光景ですが、こっちはまだ半分お客様みたい