忘れられない話 原爆投下の日のことを どこかで 誰かの 真実の記憶として 語られるのを聴いて もう どこの 誰の話だったかも忘れてしまったのに ずっと忘れられなくて… まるで 自分の身内のことを 聴いたかのように こころに 刻まれている物語 あの日 娘は軍需工場に向かうのに 少し風邪気味だという いつもならば 栄養と 喉のために 砂糖水を作って飲ませるところを 戦況厳しく 配給も滞り すでに砂糖は大変に貴重であったため 帰ったら 砂糖水をあげるからね と励まして 送り出した そうして 原爆が落とされた そんなにも むごい記憶は わたしにはないけれど… いのちが 突然 消されてしまう現実は 知っている あれが 最後になるなんて という 引き裂かれるようなおもい いくつも いくつも抱いて 生きている いのちは 脆い わたしたちは 弱い 大雨の猛威 コロナの猛威 高い湿度が心身を疲労させて 余計