カセットテープが再ブームなんだとか。 レトロな魅力が若者に人気なんだとか。 待て待て。カセットテープが「レトロな魅力」だと? レコードならわかる。僕が生まれる前の記録媒体だ。そりゃあレトロよ、昭和だもの。魅力もわかる。生まれ変わったら、洒落た喫茶店のマスターになってレコードに針を落としてみたい。 でも、カセットテープは平成だ。僕が高校くらいまで現役だった。中学生の頃は毎晩NHK FMのミュージックスクエアを聴いていた。好きな曲が流れると声を殺して録音したものだ。そしてテープが伸びるまで繰り返し聴いた。 そんな我が青春のカセットテープがレトロだなんて、僕だけを置き去りにして時は過ぎていくのだなぁ。 カセットテープにはまだ「レトロ」は感じないが、個人的にそれを感じているのは電話ボックスだ。 街角でたまに見かけると、何だか時代遅れな哀愁を感じて胸がキュッとする。電話はピンクでは古過ぎて、灰色では