カナダ北部ヌナブト準州のコーンウォリス島で行われたサバイバル訓練中、カナダ兵が飛行機の残骸に上る。北極の温暖化に伴い、将来の覇権をめぐって緊張が高まるなか、カナダ軍と米軍は北極での活動を強化している。PHOTOGRAPH BY LOUIE PALU 人類史の大半を通じて、北緯66度以北の世界は、大規模な商業活動とはほぼ無縁だった。探検家や投機家、科学者は長年、北極の氷の下には豊かな資源と海上輸送ルートがあるとみていたが、耐えがたい寒さ、暗い冬、そして人里からあまりに遠い地理的条件が開発を妨げていた。 今の北極は緑が多く、トナカイは減り、蚊が増え、夏の気温は上がっている。最も気になる変化が起きているのは海だ。夏季の海氷面積は驚くほどのペースで縮小している。米航空宇宙局(NASA)の研究者による推定では、海氷面積は年平均およそ5万4000平方キロのペースで縮小しているという。2014年の「全米