玉水物語 2巻 | 京都大学貴重資料デジタルアーカイブ ※この記事では、京都大学貴重資料デジタルアーカイブの画像を、適宜改変して使用しています。 【原文】 かるらん。少しも良き様ならバ、早く帰り給ふべし。 こなたの徒然《つれ/゛\》思ひやり給へ。 搔き暗す心地なんす」 と書ゝせ給ひて、 「年を経《ふ》る葉ゝ[母]《はゝ》その風に誘ハれバ残る梢[子末]《こずゑ》は如何《いか》に成りなん」 と遊ばしたるを、此の母、少しの間心良く見奉りて、 「忝《かたじけな》くも、仰せられたるかな。 御宮仕へならずバ、如何で世に有る者とも知られ奉らん。 兎にも角にも有り難し。 身より出たる子供よりも愚[疎]《おろ》か無く思ひ奉るぞ」 と喜びけり。 月冴へも細々《こま/゛\》と書きて、 「初花の 蕾[窄]《つぼ》める色の 苦しさに 如何に木の葉 色を見聞くに」 と、斯《か》ゝる事を見聞くに付けても、思ひの色は晴れ
![姫君と月冴えからのお手紙にお返事を書く玉水 ~『玉水物語』の15~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/be8e87e8d4eca044228d0551a59b59eb8e0da151/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fcdn-ak.f.st-hatena.com%2Fimages%2Ffotolife%2FK%2FKihiminHamame%2F20190512%2F20190512214630.jpg)