それでは、前回に予告した通り、今回は『三年寝太郎』です。 昔話の『三年寝太郎』は、現在の山口県山陽小野田市厚狭地区が発祥と言われています。 「庄屋の息子にもかかわらず、三年間も寝てばかりで、寝太郎と呼ばれた若者が、ある日、急に起き上がり、灌漑《かんがい》を成し遂げて村を繁栄させました。実はただ寝ていたのではなく、ずっと灌漑の方法考えていたのでした」 というのが『三年寝太郎』の基本的なストーリーです。 江戸時代にはまだ「寝太郎」は、絵本や小説などの物語としては成立していません。 ただ、江戸時代の書物に、寝太郎に関する記述は出てきます。 寝太郎のお話の原拠としてよく触れられているのは、天保十三(一八四二)年『防長風土注進案《ぼうちょうふうどちゅうしんあん》』「末益村」の記述です。 『防長風土注進案』 【原文】 山川の野田と言へる所には、今に牡蠣《かき》の附きたる石、遺《のこ》れり。 然るに、年
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