「建築好き」の人に「これまでで最も印象に残っているオリンピックは?」と尋ねたら、恐らく大半の人が「北京五輪」と答えるのではないか。筆者は迷いなくそう答える。 水泳の北島康介選手が2大会連続の2種目制覇を成し遂げたから? まあ、それもある。女子ソフトボールが悲願の金メダルを獲得したから? ああ、そんなこともあったな……。でも、本当のところ、何の競技で誰がメダルを取ったかはうっすらとしか覚えていない。頭の中にはっきりと浮かぶのは「鳥の巣」である。 ということで、これから数回にわたり、これまでのオリンピックで話題になった建築を振り返ってみたい。日本の建築界が次の東京五輪でどんなメッセージを発信すべきかを考えるには、まず、これまでの五輪建築を振り返って学ぶ必要がある。え、それよりなぜ「鳥の巣」が建築なのか、って? はいはい、では説明を……。 北京五輪の「鳥の巣」を設計したスイス人コンビ 通称「鳥の