『代議士のつくられ方――小選挙区の選挙戦略』朴 喆熙 文春新書 (六八〇円) 内閣四つをつぶして成立した選挙制度改革。その後、二度の総選挙を経たものの、政治改革の実効があがったかどうかは疑問が残る。最近は中選挙区制の復活が堂々と語られるようになってきた。それでは過去二回の経験をどのように総括すればいいのか。 本書は九六年の小選挙区選挙を、候補者に密着して行われたリサーチの結果である。もう一年前に出た本なのだが、日本政治に対する同様な研究はほかには皆無であるとのこと。読んでみたら、「十日の菊」どころか、意外なほど発見が多くて楽しめた。 著者がフィールドワークの対象としたのは、東京十七区(葛飾区+江戸川区の一部)で初当選を果たした平沢勝栄氏である。地元と接点がなかった平沢氏が、自民党の公認を得て、後援会を作って地方議員を味方につけていく過程が描かれている。 日本には大衆組織政党がほとんど存在し