だが、この「卒業証書」そのものに、私はいくつもの疑問を抱いている。 彼女は自著『振り袖、ピラミッドを登る』(1982年、講談社)の扉で、最初にこの「卒業証書」を披露した。 それがAである。「あとがき」では、こう説明している。「正式の卒業証書が手に入ったのは、何と二年後であった。一枚一枚が手書きだからである」。 Aはご覧のように、小池氏がベールをかぶっている写真とコラージュされている。ベールの裾部分が不自然に広がっており、この裾で隠された部分には、学部長ほかのサインがあるはずなのだが、その肝心な部分がAでは見ることができない状態だ。また、裾の右下(「講談社」の文字の右斜め下)に位置しているアラビア文字は「学籍番号」を意味し、本来は、それに続いて小池氏の学籍番号が数字で書き込まれていなければならないはずだが、それがない。 (左)『振り袖、ピラミッドを登る』(講談社)の扉に掲載されたA/(右)小