『徳川慶喜公伝』という書物をご存知でしょうか? 文字通り15代将軍・徳川慶喜の生涯を描いたもので、著者は他ならぬ渋沢栄一。 大河ドラマ『青天を衝け』でも同書の内容をベースにしているようで、主人公の栄一が書いたんだったら間違いない! これは傑作だ! とはならないのが歴史コンテンツの宿命でして。 自己申告の武勇伝ほどアテにならないことは皆さん肌感覚でご理解いただけるでしょう。 「好き勝手に改ざんできる」とまでは申しませんが、文才さえあれば、いくらでも都合よく自分たちの経歴事績をキレイに見せられる。 ウソはついてない――されど読み方によっては意図的に誤解させられる――そんな書物って信用できませんよね? 残念ながら『徳川慶喜公伝』もまた疑わしき書籍だったりします。 これは何も私が言っていることではなく、同書は刊行直後から「フザけた内容だ!」として元幕臣や佐幕派の武士らを中心に激しいクレームが沸き起