そうした加害の歴史との向き合い方は、国や地域によって様々だ。「解放のための戦争だった」「従軍慰安婦など存在しない」「虐殺はなかった」――。そのような言説が、ネット上の一部に留まらず世に溢れ出てくる日本社会は、果たして「繰り返さない責任」を問えているだろうか。 「日本と比べて、“加害の歴史としっかり向き合ってきた”というイメージの強いドイツでも、実はタブーとして触れられなかった結果、ほとんど忘れられてしまった領域があります。例えば、収容所内での強制性労働に関する研究については、証言者の少なさも相まって、社会的認知は低いままです」 そう話すのは、「ザクセンハウゼン追悼博物館」でガイドを務める中村美耶さんだ。ドイツの大学で歴史学を専攻し、自身の研究分野を探している中で、収容所内の強制性労働の実態を知ることになったという。今回の記事では、中村さんにザクセンハウゼンを案内頂いた上で、「加害を見つめる