土曜日の歴教研での『市民のための世界史』についての議論の中で、用語を減らすはわかるが代わりに概念・理論用語の暗記が増えることになるのではないか、という疑問が提起された。一部重なる問題として、これまでの論述式の入試の出題について、因果関係などの説明を用語の代わりに暗記させることになるだけだという批判を聞いたこともある。 1.われわれは用語・事項の暗記を全否定しているか。 そんなことはない。化学の勉強で元素の名前は暗記するものだろう。炭素をなぜ炭素と呼ぶか、酸素をなぜ酸素と呼ぶかまで「理解」する必要はなかろう。生物でも似たことがあるだろう。だが化学や生物で、化合物や生物の名前をものすごく大量に覚えていたら学力が高いというだろうか。現在の歴史教育は、化学反応の式とパターン、生命現象の構造とパターンなどを抜きにして、ひたすら化合物や生物の名前を覚えさせる、小川幸司先生のいう「素朴な分類学」に陥って