©『私のはなし 部落のはなし』製作委員会 本作を、惹句にあるとおり「いまだかつてないドキュメンタリー映画」にしているのは、「はなし」で構成した点である。タイトルでもその点が強調されているが、本作は「はなし」の群れでできている。さまざまな人々が語る「はなし」の群れがどっと押し寄せてきて、200分を超える長尺ながら引きこまれて見た。「いまだかつてない」本作の非凡さとはどういう点か、そこにどんな希望があるのだろうか。 輝きも不気味もある「はなし」の群れ なにより見るべき非凡さは、人々の「はなし」で構成したことだ。ここには大まかに言って3種の「はなし」がある。(1)部落差別を被ること、つまり被差別についての「はなし」とその闘いの「はなし」、(2)闘いの向かう先となる側の「はなし」、(3)歴史に関する学問的解明の「はなし」の3種である。事実や実態、歴史を動かないもの、否定しようのないものとし、「これ