前回は「『ミュージアム』の本質は複製とデータベースという問題を通じて顕著となる」という主旨のことを述べて締めくくった。根拠を明示しない断定はやや拙速だった気もするが、しかしこの断定に対してまず異論が生じないことも確かなように思われる。美術作品のコレクションをはじめとして、膨大な情報が格納された「ミュージアム」は、確かに極めてアーカイヴァルな施設である。施設が巨大化し、作品の点数が増大すればするほど、年代やジャンルなどの精密な基準に応じた分類が不可欠になるわけだから、その内実をデータベースという比喩で語ることには何の違和感もないであろう。その意味では、「ミュージアム」とはまさしく、コンピュータの普及に先立って確立された概念に先行したデータベースなのである。 しかし、いまや疑う余地のない「ミュージアム」とデータベースのアナロジーが自明のものとなったのは、果たしていつのことなのだろう? 少なくと