ロイ・グレイス氏は、1986年にニューヨーク・アートディレクターズ・クラブから、「名誉の殿堂」入りという、アートディレクターとして最高ともいえる栄誉を受けた。日本人で受けたのは、記憶しているかぎり、デザイナーとして福田繁雄さん、田中一光さん、亀倉雄策さん、石岡瑛子さんの順で---だけじゃあなかったかなあ。DDBの紹介をやめた年から、高価で場所ふさぎできわめて有用な『N.Y.ADC年鑑』の購入を停止したから。そう、20年間ほど、古い年度分も遡ってきちんと購入しつづけいたんです(すべて、某所へ寄贈したら半分散逸していた)。で、購入をやめた1980年代以降の『同年鑑』を電通図書館とか東京ADCとかアメリカン・センターとか、備えていて当然な場所と人に問い合わせてみて、日本には1冊もなさそうと、あきらめざるを得なかった。寄贈して行方不明にならなかった半分が、唯一、日本在存のものかもしれない。それで気