最低賃金がどのような影響を経済に与えるかというのは重要な問題の一つだ。最も活発に議論が行われているのは、最低賃金を上げると雇用が減少するかという問題だ。単純なモデルで考えてみよう。労働者の生産性は一定とする。最低賃金で雇われている労働者がいたとすると、その労働者を雇っていた会社は、最低賃金が引き上げられると利益(労働者の生産性と賃金の差)が減少することになる。生産性の低い労働者については、利益がマイナスになってしまうかもしれない。よって、最低賃金で人を雇っている企業は、雇用者数を減らすことが考えられる。このような状況下では、最低賃金の実施が「望ましい」か否かの判断は、最低賃金で働いている労働者の賃金が上昇するというプラスと、雇用者数が減少するというマイナスを比較して決定されることになる。現在CEA(アメリカの経済諮問委員会)の委員長をしているAlan Kruegerは、最低賃金が引き上げら