斬新(ざんしん)なデザインで知られる加茂のヘアデザイン。しかし、ファッションの主役はあくまで服だ。ヘアデザインが目立ちすぎても、地味すぎても、台なしになる。いつも加茂が念頭におくのは「服をショーアップ」すること。服のテーマを探り、それをひきたてるためのヘアデザインを練る。 加茂はいつも、思いついたアイデアを本番ぎりぎりまで試し、最善のデザインを探る。加茂の仕事は、ファッションデザイナーやスタイリストなど誰かのためにデザインを考えることだからだ。 ファッションデザイナー高橋盾(たかはしじゅん)とのパリコレ。そのヘアメイクを決定する打ち合わせの3時間前に、突然加茂は事前に決めたメイクのデザインすべてやめ、新しいアイデアを試し始めた。エアブラシを使った新しいデザインだ。そのアイデアにより、何色ものファンデーションを重ねたグラデーションからなる美しいメイクが生まれた。 加茂が最も力を試される仕事