ブックマーク / www.icr.co.jp (32)

  • 新モバイルOSに集う通信事業者(佐藤 仁)

    2013年7月、南アフリカの通信事業者MTNが新しいモバイルOS「Ubuntu Phone OS」のCarrier Advisory Groupに加盟した。現在のスマートフォンOS市場はGoogleAndroidAppleのiOSで9割を占めている。 さらにマイクロソフトのWindows Phone OSや、BlackBerryなど既存のプレーヤーが存在している。そのようなスマートフォンOS市場に新たに参入しようとしているモバイルOS陣営が4つある。「Firefox OS」、「Ubuntu Phone OS」、「Sailfish OS」、「Tizen」である。 それらの多くは通信事業者や端末ベンダーなどが新モバイルOSの団体に参画して自らの要求をOSの技術仕様に取り込もうとしたり、新たなビジネスモデルを検討しようとしている。 新モバイルOSに何を期待しているのだろうか? 新モバイルOS

  • ビッグデータはアフリカの公共バスを変えるか

    西アフリカのコートジボワールでIBMと現地通信事業者Orangeらが携帯電話の利用状況に関する情報を収集、それらをビッグデータとして活用し、現地の公共バスのルート、時刻表の再編に役立てようという取組みが行われている。 コートジボワールでのIBMとOrangeの取組み IBMとOrangeらはコートジボワールの最大都市アビジャンでOrangeの携帯電話ユーザの利用動向情報を収集した。Orangeが現地で実施している「Data for Development」プロジェクトの一環で2011年12月から2012年4月までの情報を収集。コートジボワールの500万ユーザの25億の通話・通信記録から利用動向を収集した。個人情報や通話の内容などは特定されない仕組みになっている。 ユーザが携帯電話で電話(音声通話)、ショートメッセージ(SMS)を送信した際に、そのアクションが基地局に記録され、ユーザの位置情

  • サイバー戦争は「Cool War」なのか?

    2013年4月9日の日経済新聞(7面)にて、最近の米中でのサイバー攻撃を『クール・ウォー(Cool War)』であると海外のメディアが称していることを紹介していた。米ソでの「Cold War(冷戦)」を意識して、米中でのサイバー攻撃を「Cool War」と米メディアでは呼んでいるとのことである。 「Cool War」とは何か? 国内外のメディアはこのような「言葉作り」が得意だから読者を惹きつける新語を作っているのだろうが、冷戦のように全世界の体制や国民生活までを巻き込むまでに至っていないのか、現時点では欧米でも一般市民まではあまり浸透していない。「Cyber warfare(サイバー戦争)」の方がまだ一般的であろう。 「Cool War」という用語に定義がある訳ではないので、記事やレポートを執筆する筆者が自由にその単語を自身の文脈に応じて用いることができる。 『Foreign Polic

  • グローバル化の観点から見るスペインでの「LINE」人気

    2013年4月3日、LINE株式会社はメッセンジャーアプリ「LINE」がスペインで登録ユーザーが1,000万人を突破したことを発表した(※1)。日以外で1,000万を突破したのは、台湾、タイといったアジア圏に続き、欧州ではスペインが初めてとなる。 ファミリーブランドの総合力で勝負する「LINE」 今回のスペインでの1,000万突破のリリース時にLINE株式会社の森川社長は、その要因について「スマートフォンだけでなく、PCからもアクセス可能でコミュニケーションがシームレスに行える点、またLINE自体はもちろん、カメラやゲームなどの様々な連携サービスを無料で提供している点が受け入れられた要因ではないか」とコメントしている。 スペインを始めとした欧州、全世界でメッセンジャーアプリとして人気があるのは「WhatsApp」である。森川氏が指摘するように「LINE」には「LINE camera」や「

    hasetaq
    hasetaq 2013/04/11
    LINEすげーな。CMがちょっとコラっぽい
  • 親日国モンゴルの携帯電話事情

    2013年3月30日、31日に安倍首相が日の総理大臣として7年ぶりにモンゴルを訪問した。訪問に先立つ3月29日付のモンゴル主要紙に両国関係の更なる発展を目指すメッセージを寄稿した。寄稿した文章(日語)は首相官邸のサイトに掲載されている。 日とモンゴルは1972年に外交関係が樹立され、2010年には「戦略的パートナーシップ」の構築を共通の外交目標として掲げている。安倍首相は、両国関係を支えているものを自由と民主、平和、助け合いの「3つの精神」であると位置付けた。また「政治・安全保障分野の協力」、「経済関係の更なる促進」、「人的交流・文化交流の活性化」の3分野で協力を推し進め、「戦略的パートナーシップ」を加速的に推進していくことを強調した。 モンゴルは世界でも有数の親日国家である(※1)。稿では親日国家モンゴルの携帯電話事情について見ていきたい。 モンゴル携帯電話事情 モンゴルの人口は

  • 発展途上国の女性と携帯電話「mWomen」

    2013年2月、バルセロナで開催されているMobile World Congressにおいて業界団体GSMA(GSM Association)が様々なモバイル分野での優れた商品やサービスをジャンルごとに表彰している(※1)。その中で、モバイルを活用した新興国の女性向けサービスで優れたサービスを表彰する「GSMA mWomen Best Mobile Product or Service for Women in Emerging Markets」がある。 GSMAが推進する「mWomen」 GSMAでは新興国の女性が携帯電話を活用して自立していくための支援を目的として「mWomen Programme」を立ち上げている。 民間企業や政府や援助機関などの公的機関と連携し、新興国においてモバイルを通じて女性の社会進出や女性向けのサービス、商品の推進を支援している。また携帯電話保有のジェンダーギ

  • マイクロソフトが狙うアフリカ市場

    マイクロソフトは2013年2月4日、アフリカにおいて2016年までにスマートデバイスの普及、ICTのインフラ整備、利用促進を図るとした経済開発イニシアティブ「4Afrika Initiative」を発表した(※1)。マイクロソフトのアフリカでの活動を見ていきたい。 マイクロソフト「4Afrika Initiative」 マイクロソフトは「4Afrika Initiative」のプロジェクトを通じて、2016年までに数千万人の若者がスマートデバイスを利用できる環境を作ること、100万社以上の中小企業がオンラインに接続できるようにすること、10万人の従業員のITスキル向上、新卒者10万人のITスキル向上と就職斡旋を目指している。 「4Afrika Initiative」のプログラムは以下の通りである。 (1) HuaweiWindows Phone 8スマートフォン「Huawei 4Afri

  • 2012年情報通信業界の十大ニュース

    今年最後のコラムは十大ニュースで締めくくりたい。例年通り、ランキング形式で、個人的に印象に残った出来事を簡単に振り返る。 第10位 ソフトバンクがスプリントの買収を発表 10月にソフトバンクが米国の携帯電話会社スプリントの買収を発表した。総額201億ドル(約1.7兆円)という金額の大きさもさることながら、AT&T、Verizonの2強に大きく水をあけられ、苦境に立っている会社を買収するという点も注目された。買収の狙いの一つは端末調達における交渉力の向上。スマートフォンの時代になり、携帯市場の競争における端末の重要性はさらに増している。アップルのiPhoneやサムスンのGalaxyなど、人気の高い端末を、より有利な条件で調達することができれば、競争力の向上につながる。今後の注目は買収審査においてどのような条件が課されるのかという点。スプリントは米国の別の携帯事業者クリアワイヤーの買収を発表し

  • 平均年齢10~20代:若者が牽引するアフリカ市場

    2012年12月10日、世界銀行とアフリカ開発銀行は、アフリカ連合の協力を受けてアフリカ諸国における情報通信技術(ICT)を活用した取組みを紹介するジョイント・レポート「eTransform Africa」を発表した (※1)。 ICTが牽引するアフリカ 同レポートでは、アフリカでのICTを活用した経済、社会、個人生活の発展に寄与した内容を農業、気候変動、教育、金融(送金)、ヘルスなどの8分野で紹介している。 現在では、アフリカだけでなくどこの地域でも、どのような分野でもICTとは密接に関わりを持っている。アフリカでは携帯電話の普及が急拡大していることから、ICTとの関わりは大きく注目されている。世界銀行のTim Kelly氏は、「アフリカはICTリーダーとして急成長しており、デュアルSIM対応の携帯電話やモバイル送金が全土で普及してきており、ICTのイノベーションは遠隔地に住んでいる人や

  • いつもクールな学生達がこぞって共感を示した携帯電話の歌

    3年くらい前までは、大学の授業で情報通信関連の新製品や新サービスを紹介すると、結構盛り上がったのだが、最近は冷静な反応が返ってくることが増えて来た。 今年の授業で「3Dプリンター」の話をした時もそうだった。動画を見せた時には「すげー!」という驚嘆の声が上がったが、「10万円程度で買える3Dプリンターが今年発売される予定ですが、欲しいと思う人!?」と聞いても誰も手を挙げなかった。興味を持っていそうな学生に訊くと、「スゴイとは思いますけど、利用シーンが思い浮かばないので必要ないかな...」という答えが返ってきた。 そんな私の授業で、今年、学生達の共感をもっとも多く集めたのは、新製品・新サービスではなく、RADWIMPSの携帯電話という歌だった。 2年ほど前の歌だが、現代の若者の気質をよく捉えているような気がしたので、授業で流してアンケートを取ってみた。 すると「ケータイ世代の私達の気持ちを代弁

  • パネッタ米国防長官:サイバースペース攻防に対するアメリカの姿勢

    2012年10月11日、アメリカのパネッタ国防長官はニューヨークでビジネスエグゼクティブを対象にして、アメリカのサイバーセキュリティに関するスピーチを行った。 パネッタ国防長官は、アメリカに対するサイバー攻撃が深刻になることを「Cyber Pearl Harbor」(サイバースペースにおける真珠湾攻撃)になぞらえて、アメリカの抱える危機感とサイバー攻撃に対する対策を訴えた。 パネッタのスピーチから読み取れるアメリカが考えるサイバースペースに対する姿勢を見ていきたい。 (1) サイバースペースはアメリカとして守るべき重要な空間 「私たちのミッションはアメリカを守り、アメリカに対するサイバー攻撃を阻止することだ。過去において、アメリカ軍は陸、海、空、宇宙で攻防を繰り広げてきた。21世紀はサイバースペースも国家の一部としてアメリカ軍が守るべきである。もしアメリカに対してサイバー攻撃を仕掛けてきた

  • アフリカ:携帯電話は若者の農業離れを防げるか

    アフリカにおける農民への携帯電話提供と若者の農業離れについてナイジェリアとケニアの最近の事例から考察していきたい。 ナイジェリア:政府主導での農民への携帯電話提供と若者の農業離れ 2012年9月、ナイジェリアの農業および地方開発を担当する当局(The Federal Ministry of Agriculture and rural Development)は、2013年までにナイジェリア全土の農民1,000万人に対して携帯電話を提供することを公表した。 ナイジェリアでは農民に対して携帯電話を通じて、農業情報、天候、肥料の情報や値段、市場価格動向などの情報収集に役立ててもらうことが目的である。今回の農民への携帯電話提供の背景には、若者の農業への従事を促進することがある。またナイジェリアで雇用のない若者らが農業で新たなビジネスを始めることを目的としている。ナイジェリアでは、「YEAP(You

  • Googleが次に狙う市場:パキスタン

    「パキスタンはGoogleにとって次の大きな市場である」(“Pakistan is Google’s next big market in the region”)とGoogleの新興国市場開拓東南アジア担当Jana Levene氏が2012年9月10日、パキスタンのカラチで開催されたITイベントにおいて、Googleにとってパキスタンが重要な市場であることを述べた。 パキスタンでのGoogle パキスタンのGoogleでは1日に800万以上の検索が行われており、そのうち約25%(200万)はモバイルからだそうだ。 パキスタンは世界6位の人口を持つ国である。市場のポテンシャルとインターネット利用者数の成長余地が大きいことから、Googleにとって将来4~5億ドル規模の市場になるだろうと見込んでいる。Googleはパキスタン東部のパンジャーブ州情報技術委員会と提携して、「Innovation

  • サービスとしてのサイバー攻撃

    弊社の佐藤研究員も「Global Perspective」のコーナーでしばしば取り上げているが、最近、サイバー攻撃が大きな社会問題になりつつある。 「コンピュータ・ウィルス」とか「マルウェア(注1)」というと、「コンピュータ好きな若者が、いたずら半分に、一人で自室にこもってコツコツ作っている」というようなイメージを抱きがちだが、実情は違うらしい。 面白半分でマルウェアをばらまく愉快犯ではなく、むしろ、特定の企業や組織に狙いを定めた、いわゆる「標的型攻撃」が増えているのだ。 また、年々高度化していく企業のセキュリティ対策の監視の網をくぐりぬけて悪事を働くには、それなりのスキルが必要になる。「ちょっとコンピュータに詳しい」程度の個人ではもはや太刀打ちできない。社内ネットワークにバックドアを設けて情報を吸い上げる「トロイの木馬」型のマルウェアを一から作るとしたら、いわば「高度なグループウェアを作

  • 観光ICT立国のススメ

    ロンドンオリンピックが開幕 日時間の7月28 日早朝にロンドンオリンピックの開会式が盛大に行われました。英国の過去、現在、将来をドラマチックに演出した感動的な開会式で、特に牧歌的なリアルな世界とエリザベス女王がパラシュートで飛び降りるというバーチャルな映像が組み合わされるという最先端のICT 技術が駆使された見事な演出でした。200 カ国以上の国々の選手や人々が参加した今回のオリンピックは英国のステータスを更に高めるとともに、英国に大きな経済波及効果をもたらすものと思われます。一方、日では5月に営業開始した東京スカイツリ―の人気が高く、展望台に昇る予約をとるのが大変な状況となっており、スカイツリ―効果は3年間で100億円と試算されています。 ロンドンオリンピックを契機に我が国の観光産業、特に「観光ICT 立国のススメ」ということで考えてみたいと思います。 外国人観光客数が震災前に回復

  • ビッグデータ技術の活用で未来のSNSはこうなる(かも)

    2012年上半期の情報通信業界において最も注目を集めたキーワードといえば「ビッグデータ」であろう。ビッグデータをテーマにしたセミナーがあちこちで開催され、5月末にはNHKのクローズアップ現代でも取り上げられた。 インターネットやスマートフォンの普及により、多種多様かつ膨大なデータが日々収集・蓄積されている。これらの膨大な情報「ビッグデータ」をうまく活かすことができれば、これまで出来なかったさまざまなことが実現可能になる。 「社会を変える“ビッグデータ”革命」と題したクローズアップ現代では、コンビニのポイント・カードの情報から各商品のメイン購買者層を割り出して店舗毎に品揃えを変えたり、カーナビの走行情報から事故が起こる可能性の高い道路を見つけ出して対策を講じるなど、私たちが、普段何気なく利用しているサービスにおいて、すでにビッグデータの活用が進んでいることが紹介された。 同番組が「革命」とい

  • サイバー空間を制する大国

    2012年6月20日のワシントンポストによると、6月初頭にロシアセキュリティソフト会社Kasperskyが発見した強力なマルウェア「Flame」はイランの核開発計画を遅らせる目的でアメリカとイスラエルが開発したものであると報じている。 サイバー空間の兵器としてのマルウェア 2012年6月1日には、アメリカ政府がイスラエルと共同でイランの核開発を妨害するためにマルウェア「Stuxnet」を開発し、イラン核施設にサイバー攻撃を行っていたとニューヨークタイムズで報じた。 今回のFlame開発は、米国家安全保障局(NSA)、米中央情報局(CIA)、イスラエル軍が共同で行い、アメリカとイスラエルはイランに対するサイバー攻撃をまだ続けていると報じられている。目的はイランのウラン濃縮施設を機能不全に陥れることによる核兵器開発を遅らせることである。FlameもStuxnet同様、5年以上前から開発が行わ

  • 「LINE」の普及から読む、モバイル通信業界の将来

    国内で「LINE(ライン)」の普及が急速に進んでいる。LINEは、国内・海外、通信キャリアを問わず、無料で音声通話・メールが利用できるスマートフォン(スマホ)向けアプリであるが、国内でも利用ユーザー数が2012年4月に1,300万人を突破した。これは、スマホ利用者が国内携帯電話契約者数の30%だと仮定すると、スマホ利用者の3人に1人が利用している計算だ。稿では、LINEに代表される通信系OTTアプリがモバイル通信業界にどのような影響を与えるかについて、考察してみたい。 LINE、国内でのユーザー数が1,300万人を突破 NHN Japanは2012年3月、無料通話・無料メールスマートフォンアプリ「LINE」の累計ダウンロード数(iPhoneAndroidアプリ総計)が、サービス公開から約8カ月で2,000万件を達成したと発表した。LINEは、国内・海外、通信キャリアを問わず、無料で音声

  • アフリカでのLTE:世界で出揃い始めたLTE(3)

    2012年6月4日、世界の38ヶ国80通信事業者でLTEの商用導入が開始されているとGSA(Global  mobile Suppliers Association)が発表した。 日では6月13日にNTTドコモのLTE加入者が300万人を突破したと発表した。日でも定着しつつある。現在、世界99ヶ国で327の通信事業者がLTE導入に向けた準備や投資を行っており、2012年末までには59カ国144の事業者でLTEが開始されるとの予測をしている。 アフリカまでやってきたLTE 2012年4月14日にアンゴラの通信事業者MovicelがLTEサービスの提供を開始した。また5月16日には、ナミビアの通信事業者MTCがLTEサービスを開始している。この2社は一般の顧客を対象にLTEを提供する。まずはデータ通信モジュールとしての提供である。アフリカでは2011年2月にナイジェリアのGloが法人ユーザ

  • サイバー空間依存が高い現代社会の新たな危機

    (公表資料より筆者作成) 【参考動画】 新種マルウェアFlameについての報道(2012年) イランMAHERからの被害情報 イランの国家コンピュータセキュリティ対策機関MAHERもFlameが公表された同日の5月28日、StuxnetとDuquに続く新たなマルウェアの調査結果を発表した。イランはこのサイバー攻撃を「Flame」と命名した。43のウイルス対策ソフを使ったテストでは検出できなかったため、MAHERで検出・削除ツールを開発し関係機関に配布準備ができているとのことだ。 Kaspersky Labによると、Flameに汚染確認されたトップ7か国は中東地域に集中しており、イランが圧倒的に多い。国・地域でみると、イラン189、イスラエル・パレスチナ98、スーダン32、シリア30、レバノン18、サウジアラビア10、エジプト5である。 Stuxnetアメリカが開発したとの報道 2012年