ブックマーク / ides.hatenablog.com (9)

  • いじめの諸定義 - 井出草平の研究ノート

    小林英二・三輪壽二,2013, 「いじめ研究の動向 : 定義といじめ対策の視点をめぐって」 『茨城大学教育実践研究』(32): 163-174. 文科省は,2006 年に,いじめを,「当該生徒が,一定の人間関係のある者から,心理的・物理的な攻撃を受けたことにより,精神的な苦痛を感じているもの」(文部科学省通知)として,それまでの定義を変更した. 文部科学省. 2013年1月28日現在.「学校におけるいじめ問題に関する基的認識と取組のポイント」 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/06102402/002.htm 柳田(2011)は,この文科省の新しい定義を肯定的に評価して次のように述べている。「この定義の特徴は,生徒の未熟さによるトラブルや軋轢と深刻な攻撃を区別しないこと,そして,攻撃の特質にかかわりなく当該生徒が苦痛を感じてい

    いじめの諸定義 - 井出草平の研究ノート
  • 幕末期京都の人口構造 - 井出草平の研究ノート

    浜野 潔 幕末期京都の人口構造とライフコース 關西大學經済論集 56(4), 383-402, 2007-03-00 この論文では幕末京都(1959年まで)の出生率を推定するという趣旨のものである。その際に使用されているのはchild-womanratioという指標である。 京都のように移動率が非常に高いところでは、正確に京都市内で出生した者を確定することは困難であり、通常の宗門改帳のように出生率を計算することは難しい。そこで、出生率の簡便な推定方法として静態人口統計からchild-woman ratioを求める方法が考えられる。 京都は大都市であり、奉公人を含めて人口移動がきわめて高いため、宗門帳で人口移動を推定するができない。その代替指標がchild-woman ratioというものである。 child-woman ratioは以下のように定義される。 サンプルでは数え年5歳以下の子供

    幕末期京都の人口構造 - 井出草平の研究ノート
  • 近世における奉公の変化 - 井出草平の研究ノート

    近世、江戸時代には移動の自由がなかったということはしばしば聞く(そのように書いている教科書もある)が、実際には移動の自由があった。音と建て前の文化が移動の際にも使われ、奉公という形(一時期土地を離れる)をとる。そのまま生まれた場所に戻ってこない人もあれば、数ヶ月や数年で帰ってくる者もいる。 森嘉兵衛「近世農村年季奉公人の研究」 『岩手大学学芸学部研究年報』 10(1), 99-136, 1956-11-00 近世の奉公形態が,厳密に譜代--質物--居消--年季--日雇と展開したものではない.又年季奉公の場合でも,債務的年季奉公から,純枠年季奉公に,更にその内部に於て前者は利付前借--利付前借--無利息前借へ,又後者が給料の全額前払制--一部前払--全額後払制と厳密に展開したのではない.これ等は地域的に比較して錯雑しており,同一村内に於ても,同一家の手形に於ても錯雑している.それにも拘わち

    近世における奉公の変化 - 井出草平の研究ノート
  • 気分反応性の定義 - 井出草平の研究ノート

    気分反応性とはよいことがあれば気分が上向き、抑うつ状態が改善する、もしくはできなかったことが出来ると言ったことを指す用語。もちろん、逆に嫌なことが起こる(予想できる)と気分が下がることもある。要するに気分の上下を指す言葉である。DSM-5ではWith atypical features の項目基準Aにあたるものだ。 「新型うつ」では、職場には来れないが、遊びにいくことができる等の定義がされる。だからこそ、批判の的になるのだが、そもそもこの気分反応性について押さえておきたい。 気分反応性とは非定型うつ病に必ず登場する用語である。定義そのものはコロンビア学大学によって行われており、DSM-IV、DSM-5でも非定型の類型は残っていて、コロンビア大学の考え方が記載されてる。 気分反応性とはどういうものかを見るには、コロンピア大学によって作成された「非定型うつ病評価スケール」(atypical d

    気分反応性の定義 - 井出草平の研究ノート
  • うつ病の病前性格など存在しない - 井出草平の研究ノート

    うつ病の病前性格といえば、テレンバッハのメランコリー親和性性格と下田の執着気質が有名。日語で出版されてるうつ病の(論文でもそうなのだが)を見ると記載率がきわめて高い。しかし、うつ病の病前性格なんて世界的には否定されていますよというのが今回のエントリ。 多田幸司, 2010「非定型うつ病とパーソナリティ」『精神神經學雜誌』112(11): 1091-1096. うつ病の説明は下記のような感じになっている。 彼(下田)はうつ病を病前性格,誘因,発症とはじめて統合的に理解し,これが日では広く支持された(誘因というのは心因と異なり単なる引き金であり,原因は別のところにあるという意味である).その後テレンバッハはメランコリー親和性性格として几帳面,秩序志向,他者配慮の三徴からなる性格傾向を抽出した.テレンバッハは,みずからの性格が発症状況を生み出し,その発症状況にさらされることでみずからが持つ

    うつ病の病前性格など存在しない - 井出草平の研究ノート
  • いじめの定義 - 井出草平の研究ノート

    文部科学省の定義 (1)自分より弱い者に対して一方的に、 (2)身体的・心理的な攻撃を継続的に加え、 (3)相手が深刻な苦痛を感じているもの。 『児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査』 http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2012/07/18/1304156_01.pdf その他の定義。 「自己防衛の容易ではない者に対しての反復的な攻撃行為」 −−土屋基規、2005、『いじめと取り組んだ国々』ミネルヴァ書房,10頁。 今日的ないじめとは,認知された集団内において,強者である一方が弱者である個人に対して意識的にも無意識的にも,精神的・肉体的苦痛を継続して加える行為であある −−『新版学校教育大辞典Ⅰ』ぎょうせい、82頁 (1)被害者が耐えばエスカレートする 集

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  • 大阪府の生活保護率 - 井出草平の研究ノート

    研究の関係で、生活保護率の市区町村ごとのデータが欲しくて探したみたのだけれども、そういうまとめ方をしたデータが存在しなかったので、いくつかの資料からデータを作ってみた。といってもできたのは大阪府のみ。全国の市区町村ごとのデータを作るとなると大変な苦労が要りそうだ。統計の年次はすべて平成22年度。 保護率のランキングから。大阪市西成区がやはり高い。 1 西成区 22.40% 21 淀川区 3.28% 41 泉南市 1.92% 61 美原区 0.95% 2 浪速区 9.94% 22 岸和田市 3.11% 42 東区 1.86% 62 池田市 0.94% 3 平野区 6.79% 23 城東区 2.97% 43 枚方市 1.77% 63 箕面市 0.74% 4 生野区 6.41% 24 八尾市 2.92% 44 河内長野市 1.72% 64 島町 0.35% 5 東住吉区 5.84% 25 阿倍

    大阪府の生活保護率 - 井出草平の研究ノート
  • 頂き物 - 井出草平の研究ノート

    ひきこもりのライフプラン――「親亡き後」をどうするか (岩波ブックレット) 作者: 斎藤環,畠中雅子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2012/06/07メディア: 単行(ソフトカバー)購入: 4人 クリック: 41回この商品を含むブログ (5件) を見る 斎藤環さんとフィナンシャル・プランナーの畠中雅子さんの共著。高齢化が進むひきこもりを抱えた家庭には必須になるだろうだ。 このは『ひきこもり支援読』という内閣府の出した冊子に大幅に加筆をしたものだそうだ。 『ひきこもり支援読』(内閣府) http://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/hikikomori/handbook/ua_mkj_pdf.html ひきこもり支援の根拠法になっている「子ども・若者育成支援推進法」は対象者の年齢が39歳までとなっている。40歳以上のひきこもりに関しては現在のところ支

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  • 終身雇用の幻想 - 井出草平の研究ノート

    パオロ・マッツァリーノ『コドモダマシ―ほろ苦教育劇場』で引用されていた文献。昔の日では、終身雇用をされていたりで安心して生活をできていたが、最近は不安定な生活になってしまったというようなことを最近よく聞く。しかし、そもそも終身雇用というものが日で達成されたことなどあるのだろうか? 隅谷三喜男,1981, 日的労使関係論の再構築 日労働協会雑誌 23(1) p1-3 年功制の発見は必然的に長期勤続の認識をもたらしたが、この関係を終身雇用と規定したのは、アメリカのアべグレンで、五〇年代の後半急速に労使の間に受けいれられた。もっともこの場合にも、終身雇用は日の伝統的な社会関係の存続形態とみられていた。 このような日的労使関係は、はじめ諸外国の研究者の問で奇異の眼をもってみられる一方で、急速に国際的に承認されるに至った。日の労働問題に関心をもった外国の研究者は、多少の誤解を交えながら

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