「自分で決めなさい」 彼は、事あるたびにそう言われて育った。 彼の両親はふたりとも極めて有能だった。父親は食品の商社を経営し、母親は大学教授で医師。その一方で、彼らは子供の教育に大きな力を注いだ。 二人の口癖は、子供にこのように言うことだった。 「自分で決めなさい、そのために必要な情報は、全て教える。私たちに聞いてもわからないことは自分で調べなさい。調べ方のアドバイスは喜んでしよう。」 彼は、小学校入学とともに、すべてを自分で決めるように言われた。 小学校に何を持って行くべきか。 宿題をやるべきか。やるとすればどのようにやるか。 中学受験をすべきか、塾に行くべきか どのような本を読むべきか ゲームをすべきか 遊ぶべきか そして、親は彼が決めたことには、どのような結果になろうと一切口を出さなかった。だが、彼が困って相談した時は、全力でそれをサポートした。 もちろん、彼が小さい頃は、「わからな