またぞろ、統計批判が世上を賑わせておるようだね。日頃、若手に言い聞かせてきたのは、「統計は真実の一側面、真実は多面体」ということ。経済の実態をつかむには、個々の統計の問題点も知りつつ、複数の統計を眺めて総合的に判断しなければならない。さらには、「数字の選り好みは、真実を捨てるに同じ」、「矛盾する数字こそ、新たな発見のカギ」というのは、理工系の方なら、身にしみて分かるはずだ。 ……… 確かに、毎月勤労統計の現金給与総額は、この3か月は特に高めに出ていると思う。しかし、その根拠となる参考の系列の低さが正しいとも限らない。こちらには、前年が高めだったウラが出ている可能性がある。また、もし、毎勤が虚像なら、やはり高めに出ている家計調査の勤労者世帯の実収入はどう解釈するのか。今年の春闘の結果は、経団連、厚労省の集計とも数年来の高い数字だったし、バイトの時給は、一層、高まっている。結局、前にも記したよ