渋谷にて。青山真治新作。いわゆる「北九州三部作」の最終章。よかったです。この長い物語がきちんと終わったのだという感慨があった。「Helpless」「ユリイカ」の人物たちが、それぞれに生きた時間を背負って、ふたたびひとつの場所に戻ってくる。舞台となる北九州の風景、その荒涼として乾いた土地。そこに生きる人びと。こうしたディテールの積み重ねには、やはりぐっときてしまう。描写の手つきがとても繊細だった。 この作品は母性についての物語だといえる。女性がほんらい持っている包容についてのストーリーである。しかし、母性という言葉が連想させる、すべてを肯定し受け止めてくれる、子宮の中のような心地よさのことではない。むしろこの映画における母性とは、男にとって、いくら逃げても逃げきれない呪縛であり、一度からめとられてしまえば、身動きひとつ取れなくなるような圧倒的な力のことだ。男は母性に恐怖し、どこまでも苦しめら
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