およそ20年前、論文に「中絶が合法化されると犯罪が減る」とするデータが示された。さらに、ベストセラーになった『ヤバい経済学』ではその要旨が書かれ、大きな物議を醸した。そして20年後にこの仮説を再検証した結果、なんと予想が見事に裏付けられていたという。『ヤバい経済学』の著者の一人スティーヴン・レヴィットとスタンフォード大学法科大学院教授ジョン・ドナヒューが、この仮説に否定的な姿勢をとり続けてきた英「エコノミスト」誌に寄稿した。 私たちが人工妊娠中絶の合法化と、1990年代の米国で犯罪件数が激減したことを関連づけた論文を発表してから20年以上が経過した。その根拠は明快だ。 すなわち、「望まれずに生まれた子供は恵まれない環境に育ち、後年、犯罪に加担する割合が非常に高くなる。合法的な妊娠中絶は望まれずに生まれてくる子供の数を減らし、結果として犯罪も減る」。ただし、その効果が表れるまでかなりの時間差