客を装った仲間を指す「さくら」について、大正時代の「隠語輯覧(しゅうらん)」は「『作楽』の文字、一般に用ゐらるるも、『さくら』は策略より出(い)づる詞(ことば)ならんか」と記す。作楽の表記も、策略の語源も初耳だが、そんな話があったのだ▲客を操って自分たちに都合の良い流れを作るなんて楽なこと--うそぶく顔がみえてきそうな「作楽」である。だがそんな「策略」で公共的な意思決定を左右されてはたまらない。もちろん九州電力の玄海原発の再稼働にまつわる「やらせメール」事件のことである▲国の住民向け説明番組の際、九州電力の職員が子会社社員らに原発再開を支持するメールを投稿するように指示していたというこの事件だ。やらせやさくらは「仕込み」が重要だが、「県民の共感を得うるような意見や質問を発信」という仕込みメールも残っている▲こうなってみればこの経済産業省の説明番組そのものが、はなから原発再開のための「仕込み