Python 3.11では、パフォーマンスチューニングの一環として、Python関数呼び出しのインライン化 が行われました。既存のPythonインタープリタのしくみを大きく変更する変更ですので、簡単に解説しておきます。 先に書いておきますが、今回行われた「関数呼び出しのインライン化」は、C/C++などの inline のように、ユーザ定義関数を呼び出し元で展開してオーバヘッドを削減するものではありません。また、Schemeなどにある末尾再帰の最適化でもありません。 cevalループ¶Pythonインタープリタは、Python 3.11の新機能(その2) 特殊化適応的インタープリタ で解説したように、Pythonのソースコードをバイトコードへ変換し、順次実行します。このバイトコードを実行する関数はPythonインタープリタの心臓部であり、CPythonソースツリーのファイル Python/c