「思い出横丁」、もしくは、品はないが「しょんべん横丁」の愛称でも親しまれる新宿西口商店街。闇市にルーツを持ち、「昭和の名残」を色濃く残す郷愁の酒場街だ。手ごろな値段で飲める気軽さや人情味あふれる街並みに愛着を持つファンは多い。学生時代に訪れて以来、10年ぶりに寄ってみると、さまざまな変化が起きていることに気づかされた。しかも、そのメーンストリートとも言える「中通り」の不動産の所有状況を示す登記図面が「放射線状になっている」という奇妙なうわさまで聞きつけた。知られているようで、知られていない「異空間」の秘密に迫ってみた。 「こんな場所が日本にあるなんて」 「面白い飲み屋に行ってみるか」。10年前。当時、学生だった記者は先輩に連れられ、思い出横丁を初めて訪ねた。大都会・新宿の駅前にたたずむ横丁。通りをのぞき込むと、独特の哀愁が感じられ、少しドキドキしたことを思いだす。 肩を寄せ合い、詰めに詰め