タグ

ブックマーク / monado.hateblo.jp (47)

  • バーバラ・M・スタフォード「ボディ・クリティシズム」 - モナドの方へ

    ようやく読み終わった。これはすさまじい大冊。 ジャンルとしては一応、身体論、視覚文化論である。しかし読んでいるうちに、そもそも何についてのなのかわからなくなってくるほどの博覧強記の網羅ぶり、とにかくインスピレーションを刺激しまくる内容だ。一章で普通のの一冊に相当するほどの濃度なので、読了後、何かの全集を読み終えたかのような達成感すら感じた。 高山宏による訳文も読み所。まるで幻想文学を読んでいるかのような気にさえなってしまう圧倒的密度。完全に高山語に翻訳されていて、これ原文どうなってんの?的超訳が連打される。こういう訳を嫌う人もいるとは思うけど、あの文体に慣れてしまうと中毒性がある味の濃さだ。「非合理に演算で見参」「伝染るんです、点描の皮膚科 」なんて見出しにも注目して読むと楽しい。 で肝心の主題は、ひとことで言うと「見えざるモノ」をいかに「見える化」してきたか、である。 主に18世紀の

    バーバラ・M・スタフォード「ボディ・クリティシズム」 - モナドの方へ
  • デイヴィッド・ロッジ「小説の技巧」 - モナドの方へ

    文学理論の教授にして小説家でもあるデイヴィッド・ロッジによる小説技巧の理論書。批評理論のというと面倒に見えるが、そんなことはなく、すんなりと読めるである。ロッジ人の文章の上手さと訳者の巧みさが相まって、一種の洒脱なエッセイとして読むこともできる。 「書き出し」という一般的なテーマから「間テクスト性」「信用できない語り手」のような専門的なテーマまで、50のポイントを解説していて、一通りの用語・問題点がわかる。ひとつひとつに対して適切な引用があるので、これくらい知ってるぜ、という強者の人にも復習がてらに丁度良い。 批評理論のひとつの問題は、これを知ってることによって当に読み書き能力が向上するのか? という問題だ。 読者としてみれば、こういう知識を得ることによって、極めて技巧的な作品(ユリシーズとか)をより楽しむことができるというメリットがある。また、これまで読んできた作品を分類したり、

    デイヴィッド・ロッジ「小説の技巧」 - モナドの方へ
  • グレッグ・イーガン「ひとりっ子」 - モナドの方へ

    今をときめくハードSFの雄。イーガンの最新短編集。 発表年が1990〜2002年までにわたっているので、時代による作品の変遷を楽しみながら読み進めることができる。 行動原理、真心 科学によって心を完全にコントロールできるテクノロジを背景にした2作品。 ストーリーよりも、ガザニガが主張するような問題提起をしているように思われる。 ルミナス 光コンピュータを使って、数論を舞台にした熱いバトルが展開される。これを読んでワクワクできない人は、たぶんイーガンに向いていないだろう。わたしゃ光コンピュータの説明だけでご飯三杯いけた。 ちなみに主人公の名前がブルーノなのは、無数の地球に無数のキリストが存在していると唱えて火刑にされたジョルダーノ・ブルーノを意識しているのだと思われる。 個人的には書のベスト。 決断者 個人的には、この作品が一番わかりづらかった。パンデモニウム認識モデルもどこかで読んだこと

    グレッグ・イーガン「ひとりっ子」 - モナドの方へ
    hazy-moon
    hazy-moon 2006/12/28
    「ヒロインがperlが大好き」
  • 入不二基義「ウィトゲンシュタイン 「私」は消去できるか」 - モナドの方へ

    薄い割にはまとまりがよいシリーズ・哲学のエッセンス。ウィトゲンシュタインというよりは入不二センセーということで手に取った。 このシリーズは入門書ということなのだが、書は「ウィトゲンシュタイン」も「論理哲学論考」も知らない人がいきなり読むのはきつい、というか無理がある。「論理哲学論考」の概要を知っているのが前提で書かれているので、少なくとも他の入門書等で知識を仕入れておく必要があるだろう。 逆に、言語と独我論という一貫したテーマで、前期から後期に至るまで貫いて考察しているので、復習にはもってこいのだった。 クザーヌスの「正反対の一致」や東洋思想などをベースに置きながら、ウィトゲンシュタインの描き出そうとした独我論・実在論の正体に迫ってゆく。非常に分析的かつ論理的な考察は入不二先生ならでは。ウィトゲンシュタインが繰り出すひねった一見ジレンマに陥りそうな論理展開を、非常に見事に解説している。

    入不二基義「ウィトゲンシュタイン 「私」は消去できるか」 - モナドの方へ
  • 萩原恭次郎「死刑宣告」 - モナドの方へ

    最近Wikisourceなるものの存在を知った。 青空文庫にくらべるとまだまだ量は少ないが、萩原恭次郎の「死刑宣告」がすべて電子化されているのに感激したので紹介しておく。 →死刑宣告 - Wikisource 私は詩はそれほど感心があるわけではない。というより「詩は原文で読まないと駄目だよね」主義でいくと日語しか使えないので、なかなか視野を広げられないところが壁になっている。なので、今のところ阿部日奈子、加藤郁乎、萩原恭次郎ぐらいしか押さえていない。 前にhttp://www.leibniz.co.jp/~monado/js/analyze.htmlで「装甲弾機」を使ったんだけど、「死刑宣告」は当にヤバイ詩集だ。 どの詩でもいいから一読、いや一見してもらえればそのヤバさがわかってもらえると思う。特にキテるやつを紹介しおこう。 ラスコーリニコフ - Wikisource 広告灯! - W

    萩原恭次郎「死刑宣告」 - モナドの方へ
  • 巽孝之他「人造美女は可能か?」 - モナドの方へ

    慶応大学で行われた「人造美女は可能か?」というシンポジウムの内容をまとめたもの。「可能」は叶姉妹にひっかけているらしい。 執筆陣といい、表紙の恋月姫といい、ピンとアンテナが立った人は必読という内容になっている。 新島進編 ホフマンからゴスロリまで ホフマンの「砂男」(オランピア)からALI PROJECTまでの系譜をチャート図で表したモノ。書で触れられている範囲内で、非常によくまとまっている。ややおおざっぱだが、これ細かくやろうとすると際限なく列挙できそうなので、これくらいが丁度良いかも。 実は私がAli Projectにはまったのも、Noirの第一回放送で「コッペリアの棺」を聞いて、ホフマンキタコレと思ったからなので、非常に感慨深いモノがあった。 立仙順朗 マラルメの効用 攻殻機動隊における人形遣いを言語サイボーグとし、その元祖はマラルメだ!というところから始まって、力業で妖獣都市まで

    巽孝之他「人造美女は可能か?」 - モナドの方へ
    hazy-moon
    hazy-moon 2006/11/05
    『超男性』も.
  • ALI PROJECT「勇侠青春謳」 - モナドの方へ

    イントロの音がやや明るいのが気になるが、個人的にはこれまでの楽曲の中で一番好みである。 よくわからないところで、よくわらからない転調をしているところが最高にたまらない。プログレ好きの性である。特に異常にひねくれた間奏は、もうこれだけでご飯三杯いけること請け合いだ。 ヴォーカル付きの曲となると、どうしてもインストはカラオケっぽくて濃度が下がってしまうモノだが、少なくとも勇侠青春謳はインストで聞いてもまったく遜色のない完成度である。いや、むしろインストもちゃんと聞き込むと、めくるめくバロック的な旋律がしっかりと味わえるので、ヴォーカル付きとはまた違った楽しみ方ができる。真剣にメロディラインを追っているとクラクラしてくるほどだ。 というわけでインストもちゃんと聞いてね。これオススメ! またカップリングの鎮魂頌は新録で、特にイントロはまったく別物になっているので、Dilettanteを買った人にも