昆布のとカツオ節による「うま味の相乗効果」のように、においにも「香りの相互作用」があることが次第に明らかになってきました。 たとえば、スパイスのクローブの特徴的な香気成分に「オイゲノール」という分子があります。オイゲノールがにおいの分子受容体に結合し脳へと伝わる信号は、「嗅球」という脳の組織において、肉や魚の臭みとなる「トリメチルアミン」の受容体からの電気信号を抑制する現象があることがわかってきました。 同様に煮魚などにはショウガをよく臭み消しに使いますが、ショウガの香気成分である「シネオール」、「ジンギロール」、「ジンギベリン」なども魚の臭み成分であるアミン類より強く感じるため、魚の臭みがあまり気になくなります。 つまり、肉にクローブの粉末をまぶして焼いたり、魚をショウガと一緒に煮たりすることは、その料理の中から臭いそのものを取り除いているわけではなく、「臭いを“脳で感じなくさせる”」と