ブレイクタイム 10時50分、キスしにきてよ。90年代のインターネット「テレホーダイ」 # pato 2021年3月26日 アラームが鳴る。パソコンに備え付けられたチープなスピーカーが規則的な電子音を鳴らしていた。 「10時50分だ!」 跳ねるように体を起こし、即座にパソコンに向かう。投げ出されたマンガ本がバサリと音を立てるのが聞こえた。 「接続っと」 そう呟いてマウスをクリックする。カチッというクリック音が部屋に響き渡った。 ほどなくしてディスプレイの上部に置かれた小さなモデムが大音量で電子音を鳴らしはじめた。ガーガーとなにやらノイズめいた音を奏でる。規則的なんだか不規則なんだかわからないリズムで、その音はどこか儀式めいたものに思えた。 「やあ、今日はちょっと遅れた?」 モデムの儀式も終わり、インターネットに接続すると、独特の通知音が鳴り響いた。メッセージを受信したことを知らせるものだ。