2021年7月上旬, 札幌市内で2例しか確認されていなかったL452R変異を持つ新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に, 札幌市職員3名を含む6名が同時期に罹患した。札幌市職員は業務上のつながりが乏しい2部署から確認されており, 発症2週間前に2部署は同じ空間で業務を行うことはなかったが, 感染した3人は同じ日に, 集団Aに対応していた。札幌市では初のL452R変異株感染が集団で確認された事例であり, 疫学調査とゲノム解析で感染経路が推測されたため, 事例を紹介する。 本事例では, 症例を2021年7月1日~8日までに札幌市内で確認されたL452R変異株によるCOVID-19感染者で, 感染可能期間に集団Aと接触したことがある人, または札幌市衛生研究所で実施したゲノム解析で1塩基違いまでのウイルス株による感染者と定義した。 症例は6名が該当し, 女性が1名(17%), 年齢は10