玄奘三蔵法師といえば、かの「西遊記」によって人々に親しまれている名僧であり、また経典を求めて遠く天竺(インド)まで苦難の旅路を続ける法師を助けて、妖怪相手に大活躍する「孫悟空」は誰しもが知っているヒーローです。 ところがこの仏教史上「玄奘以前に玄奘なく、玄奘以後に玄奘なし」と云われた大偉人の霊骨が、慈恩寺に奉安されていることを知る人は意外に少なく残念なことです。 十三重の花崗岩の石組みによる玄奘塔を訪れる人は、中国と我が国の仏教文化の架け橋であることを感じていただけることでしょう。 昭和17年12月、第二次世界大戦のさなか、南京を占領していた日本軍が、中華門外に駐屯し、稲荷神社を建立しようということになり丘を整地していた時に、石棺を発見しました。石棺には宋の天聖5年(1027)に三蔵法師の頂骨が演化大師可政によって長安から南京にもたらされたことが記されていました。日中両国の専門家が調査の結