●昨日までとは空の感じが少し違っていた。 ●『ハーモニー』を読んだのだけど、ぼくには伊藤計劃の面白さはよく分からなかった。確かに、科学や思想における現代的なトピック(生政治とか脳科学とか)をバランスよくまぶしてあるとは思うけど、そこを除くと、とてもありがちなユートピア=ディストピア物語の範疇から出ていないように、ぼくには感じられてしまう。小説としての出来もそんなに良いとは思えない。以下ネタバレします。 ●この小説が最後に示すビジョンは、人間が完全に合理的な判断によって行動するようになれば、そのような判断による、合理的な競争、合理的な抗争、合理的な殺し合い等々は、既に悲劇とも暴力とも言えず、それは、シマウマが草を食い、ライオンがシマウマを食うことと変わらないし、歯車と歯車が噛みあって時計が動いたり、ゲートを電子が通ったり通らなかったりすることでコンピュータが計算することと基本はかわらないと言