●「水星の魔女」。前回から、一話完結性の高かった「決闘フォーマット」を完全に離れて、話が大きく動き出した。主人公の母は、相変わらず娘に対しては「完璧な母」だが、その行動はますます怪しみが深くなってきた。この「ねじれ」こそがこの物語のキーとなるのだろう。そして、能登麻美子の演技は本当に素晴らしいと思う。 「水星の魔女」は、ガンダムといっても戦争の話ではなく(テロリストが出てきたりはするが)巨大なビジネスグループの内部抗争の話で、ファーストガンダムで例えれば、地球連邦軍とジオン軍との戦いではなく、ジオン公国とザビ家の内紛だけを取り扱っているような感じだ。ただ、ここでは「国」という単位がほとんど意識されていなくて、事実上、企業(複合的な企業連合)が世界を統治しているように見える(企業連合による統治は極めてパターナリスティックだ)。そして、多くのガンダムでは地球は特権階級の住む場所だが、「水星…」