傷だらけのマンガのバリューチェーン マンガは携帯電話の時代から、デジタル・ネットとの相性は良いとされてきた。しかし、そのバリューチェーンはデジタル化の波に必ずしも対応しきれていない。 今回、Jコミ改め絶版マンガ図書館が「埋めた」ピースは、マンガのライフサイクルの最終段階「絶版」だ。印税収入の道が閉ざされ、作品の存在そのものも危うくなる(散逸)ことを防ぐという意味で非常に意義のある取り組みだと言えるだろう。現在、日本漫画家協会の理事でもある赤松氏が新生Jコミに「図書館」という名前を与えた意味は重い。 しかし、出版のバリューチェーンにおいてピースが欠けているのは、この最終段階だけではない。いわゆる出版不況のなか、作家がデビューし、原稿料を得ながら作品を創り上げていく週刊・月刊誌への連載の機会が縮小しているのだ。あるいは連載が実現しても、その原稿料はやはり出版不況のあおりから、生活できるかどうか